6月1日、中国では、銀行の監査人が実地調査に行くと、帳簿に記録されている担保が見当たらないことが頻繁にあるという。写真は、「ゴースト担保」の被害に遭った中信銀行の上海支店。5月撮影(2017年 ロイター/Engen Tham)

[上海 1日 ロイター] - 電話の向こうの銀行員は激怒していたと、上海の弁護士Wang Chaoyuさんは当時を振り返る。中信銀行(CITIC)からの300万ドル(約3億3500万円)近い融資の担保として提供されていた鉄鋼の山が、上海近郊の倉庫から跡形もなく消えたのだ。

 その数ヵ月前の2013年半ば、Wangさんとその銀行員は倉庫を訪ね、鉄鋼があることを確認していた。「最初に行った時には、鉄鋼はあった」と、CITIC上海支店を代理する北京徳和衡法律事務所のWangさんは言う。「その後、銀行員が私に『担保に供された品がもうそこにない』と連絡してきた」

 トラブルは2012年、CITICが未上場の鉄鋼商である上海漢寧鋼鉄有限公司に融資を実行した後に始まった。

 ロイターが閲覧した調停の合意資料によると、上海漢寧は融資を返済できず、CITICが鉄鋼の所有権を取得。担保を回収するため同行の行員が倉庫を訪問したところ、291トンの鉄鋼の山が消えていることが分かったと、Wangさんは言う。同行は、いまだ法廷で損失回復の努力を続けている。

 担保が行方不明になったことは、CITICにとって痛手だ。だがこれは、中国の金融システムの健全性を脅かしかねない、より大きな問題の存在を示している。それは、不正な「ゴースト」担保の問題だ。