[東京 8日 ロイター] - 仮想通貨取引所を運営する「QUOINE(コイン)」の栢森加里矢・最高経営責任者(CEO)は、日本は制度面で世界をリードしていると指摘する。4月に施行された改正資金決済法で、仮想通貨交換事業者に登録制を導入。各社の事業が本格化する今年末や来年初あたりから、取引の拡大が始まるとの見方を示した。

インタビューは6日行われた。主なやり取りは以下の通り。

──4月の改正法施行以降、仮想通貨に対する投資家の関心が高まっている。改正法は、利用者保護やマネーロンダリング(資金洗浄)対策に主眼が置かれているが、どのように受け止めているか。

「追い風だ。利用者保護に配慮した登録制を世界で初めて導入し、既存の証券会社など金融商品取引法の事業者の参入も見込まれるようになった。登録事業者を通じて投資・運用できるようになれば、金融機関による取引の拡大も期待される」

「ビットコインの投資家は、外国為替証拠金取引(FX取引)の投資家と重なりやすい。日本はリテールFXで世界1位の規模があり、市場が成長する余地がある」

「制度面で先行する日本に倣えという機運が、シンガポールや台湾、フィリピンなどアジアの国々にも広がってきている」

──実際の出来高は、改正法施行前とさほど変わっていないとの声もある。

「どの事業者も、今はみなし事業者の扱いで、金融庁の登録審査の完了を待っている段階だ。顧客獲得のマーケティングより、体制整備に注力する局面といえる。出来高がぐっと伸びてくるのは、早くて今年の年末か、来年からだろう」

──先行きの市場動向はどう見るか。

「国内市場は、足元で年5兆円程度とみている。あくまで感覚的なものだが、向こう5年ほどでFX市場の取引金額5000兆円の10%くらいの500兆円程度になるのではないか。投資・投機の側面が強いリテールFXに比べ、仮想通貨は送金や決済などの用途にも広がりが期待できるため、伸びしろは大きい」

「ただ、FXやオンライン証券の大手が、どれだけ参入してくるかによっても市場の先行きは変わってくる。株式やFXのように、価格のボラティリティーをヘッジできるオプションや先物、スワップといったデリバティブが将来的に整うかどうか、ビットコイン上場投資信託(ETF)といった金融商品の提供も重要だ」

──QUOINEのユーザーで、FX投資を手がける個人投資家「ミセスワタナベ」はどの程度いるか。

「ほとんどだ。少なくともFXや株式投資の経験のある人が、ユーザーの大多数を占めている」

──仮想通貨といえば、日本ではマウント・ゴックスでのコイン消失事件と同様のケースの再発を警戒する声も根強い。

「マウント・ゴックスの問題が日本で起きたからこそ、国としても慎重に、迅速に制度整備を進めている面があるだろう」

「少なくとも、サイバー攻撃は今後も起きるだろう。いたちごっこだ。その結果として、一部で盗難ということもあり得る。攻撃を受けた際、どのように水際で阻止するかが重要になる」

「マーケティングなどプロモーションが中心の会社もあるだろうが、QUOINEはセキュリティーや取引プラットフォームのパフォーマンス向上に力を入れている。攻撃する側に弱みを見せないことが重要だ」

──顧客は、各取引所のセキュリティの良し悪しをどう判断すればいいか。

「今はみなし取引所として営業している状況なので、まず登録できるかどうかがひとつの選別ポイントになる。登録プロセスでは、コンプライアンスや分別管理、セキュリティが審査されるため、一定の水準をクリアしたという判断ができるだろう」

――仮想通貨が法定通貨を超える日は来るか。

「日本は、地域の商店街から家電量販店、航空会社のマイレージと、ロイヤリティー・ポイントの考えが根付いている。合計するとかなりの市場規模になる。仮想通貨は、これらの進化版と考えればいいだろう」

「世界の法定通貨は100種類以上ある。仮想通貨がドルや円を脅かすことはないとしても、10─20年後には、仮想通貨のいずれかが取引規模や時価総額で法定通貨を含むトップ10に入ることはあり得るのではないか」

(平田紀之、佐野日出之 編集:伊賀大記)