繁栄する昆明、成都
出稼ぎ労働者を運ぶ電車から見た中国の現実

 中国の西南部、雲南省の中核都市昆明に着くと、その規模は圧倒的だった。僕は大阪で生まれたけれど、日本でも有数の大都市、大阪よりもはるかに活気のある大都市だったのだ。総人口600万を超える巨大都市が、中国では十数番目の規模だという。

 この街では、すでに中産階級が登場し、ショッピングセンターの充実は日本と比べても遜色がない。富裕層の若者は夜な夜な遊びまわり、新しいカルチャーを創りだそうとしている。バブルが弾ける前の日本の雰囲気はこうだったのだろうか。

 何泊かしてから、昆明から四川省の省都、成都に向かうため、出稼ぎ労働者に混じって鉄道に乗ることにした。20時間も電車の中に詰め込まれたけれど、いかにも大阪にいそうなけったいなおっちゃんと仲良くなった。身振り手振り話し、笑いあう。そして車窓からは、大陸の絶景を楽しむことできた。一方、大都市と大都市を結ぶ中に農村が各地に点在する。これが中国の貧困の根源であり、一方で、躍動する労働力の供給源になっているのだろう、と思った。

 成都の繁栄ぶりは昆明をはるかにしのぐ。ユニクロ、イトーヨーカドーなど日経資本もこぞって進出していた。北京・上海に比べ、人件費が安く、人材の定着率も高いという。清潔な場所も多く、飯も旨い。安宿だけれど、普通に飯を食って、寝て、一日500円くらいしかかからなかった。人も優しい。ここでビジネスをするのも悪くないな、なんて考えながら、取材にとりかかった。

急成長する中国で見た社会企業の姿<br />――「世界最大の市場」で進み行く巨大な変化を追う成都市街地に掲げられた巨大なユニクロの看板