コモディティー化が進んで、あとは価格とデザインだけ。すでに進化も終わったと思われていた小型Bluetoothスピーカーに、再び革新的な製品が登場した。BOSEのSoundLinkシリーズに加わった「Revolve」と「Revolve+」である。

 どちらも指向性360度の円筒形スピーカーで、水平にマウントしたドライバーユニットの音をデフレクターで拡散させる仕組み。この製品の新しさは、エンクロージャー内に収められたドライバーユニットが、上ではなく下向きにマウントされている点にある。それにBOSEお得意のデュアル・オポージング・パッシブラジエーターを組み合わせ、コンパクトな筐体ながら低音の効いたいつもの音に仕上がっている。

小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高

 小さい方のRevolveは、接地面直径82mm、高さ152mm、重さ0.67kg。連続再生時間は最大12時間。価格は2万7000円。

小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高

 大きい方のRevolve+は、接地面直径105mm、高さ184mm、重さ0.91kg。連続再生時間は最大16時間。価格は3万7800円。こちらはキャリングハンドルが付く。

 円筒形なので接地面積を取らず、内蔵バッテリーでの再生時間の長さもこの機種の優位点だろう。単体ではモノラルながら、2台をワイヤレスでリンクすればステレオでも使えるのもおもしろい。

 この斬新なアプローチは音響面でも成功している。なによりいいと思うのは、いままでのBOSEの小型スピーカー全般に感じていた不満が、あらかた解消されている点だ。

アウトドアでも使えるIPX4の防水性能

 RevolveとRevolve+は、サイズ、重さ、再生時間以外に機能的な差はなく、ボタンや端子のレイアウトが若干違うだけで、操作系も共通。カラバリはシルバーとブラック。BluetoothのペアリングはNFCでも可能で、内蔵マイクにより電話の通話や、Siriへの音声コマンドにも対応する。

 筐体はアルミで、衝撃吸収のためシリコン系の素材で上下はカバーされている。そうした素材感もあって、一見するとサーモスのボトルかランチボックスのようだが、実際にアウトドアでの利用も想定し、IPX4の防水性能も持っている。

小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
大小の比較。左がRevolve+、右がRevolve。決してサーモスの新製品ではない

 スピーカーユニットを底部に内蔵しているため、外周には音を透過させる小さな穴が空いているが、これはまったくの素通しで、内側にネットのようなものも貼られていない。上から降りかかる程度の水なら侵入しないという構造で、横から水を当てたり、水没させてしまうとアウトなので念のため。

 大小どちらの Revolveも充電時間は約4時間。付属のACアダプターとUSBケーブルで給電するか、別売りの充電クレードル「SoundLink Revolve charging cradle」(3780円)を利用する。

小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
上から思いっきり水をぶっかけたRevolve。水は滴り落ちて小さな穴の中には侵入しない。底部側面には充電用のmicroUSB端子とAUXイン端子(3.5mmステレオ)
小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
コントロール系は上部に。電源、ペアリング、入力選択(AUX/Bluetooth切替え)、音量、音声コマンドの各ボタンは、浅いストロークと軽いクリック感があって操作しやすい。写真はRevolve
小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
付属品は充電用のACアダプターとUSBケーブルのみ。これもRevolveとRevolve+で共通

スイートスポットをなくしてバランス改善

 内部の構造は、まさに円筒形スピーカーを逆さにしたような格好。それで得られる効果も、スピーカーユニットが上を向いた円筒形スピーカーと同じ。これは360度の指向性を得て「スイートスポット」を解消するためにある。

小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
ドライバーユニットが下向きに付いた独特のレイアウト(画像はメーカー提供)

 音は周波数の高い成分ほど直進性が高く、そのためスピーカーユニットにも指向性がある。従来のユニットが正面を向いたスピーカーでも、リスナーがスピーカー正面の適正な位置にいれば、適正なバランスで聴ける。この位置がスイートスポットと呼ばれるもの。

 ところがスピーカーの正面から外れると、再生音のバランスは崩れてしまう。特に、小さな筐体で低域を増強するため、パッシブラジエーターのような工夫を盛り込んだBluetoothスピーカーでは、その仕組みが仇となる。スピーカーの正面から外れた途端に、低域しか聞こえないようなスピーカーになってしまうのだ。

 さらにステレオ再生の場合は、左右スピーカーとリスナーがそれぞれ三角形の頂点にあるのが理想。しかし、そもそも幅が十数センチ程度しかない、左右ユニット一体型のBluetoothスピーカーでは、これも無理がある。得られる音場感は大したことがないにも関わらず、スイートスポットで聴かなければ、というのは少々つらい。

 特にBOSEの場合は、ほかのメーカーよりも低域の再生能力を重視しているために、スイートスポットから外れた際のバランスの悪化が顕著だった。それを一気に改善しようという試みが、今回のRevolveとRevolve+なのだろう。

 まず左右一体型のステレオ構成を止めてモノラルにし、スピーカーユニットを水平に配置して指向性を改善した。実際にこのスピーカーの周り、どこにいても均一な帯域バランスで聴ける。

 もちろん他社からも「部屋を音楽で満たすため」ということで、ユニットが上を向いた指向性360度のBluetoothスピーカーはいくつも出ているが、そうしたものとの違いは、低域の再生能力とパワーだ。

大小Revolveの音の違いは低域再生力

 BOSEはアンプの出力やドライバーユニットの効率、インピーダンスなどを公表していないのでイメージしにくいが、どちらもかなりの音量が出る。そしてサイズが違うので当然なのだが、RevolveとRevolve+では低域の再生能力に差がある。

小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
最大音量を自宅で試すと近所から苦情が出そうなので、リハーサルスタジオで試してみた

 Revolve+は、小規模なアコースティック楽器のライブなら、オケ出しに使えそうなくらいの音量が出る。屋外でも20人程度のBBQパーティーなら、十分にBGMを供給できそうだ。低域の重心はかなり低いが、パワーに余裕があるので、音量を上げてもなかなか破綻しない。ただし自宅で、特に机の上で使うような場合は、この低域の量感は持て余しそうだ。

 自宅で使うなら小さい方のRevolveがいいように思えた。低域の腰高感はあるが、それはRevolve+と比較した場合の話で、バランスとしてはこちらも優秀。Revolve+は、小音量時に低域のレゾナンスが気になる場合もあるが、Revolveでは感じなかった。

 大小どちらのRevolveも、再生音は接地する場所に影響を受けやすい。あまりに低域が出すぎる場合は、底部の三脚用のネジ穴を利用して、適当なスタンドで接地面から離すこともできる。屋外で不安定な場所に置きたいときにも有効だ。

小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
底面には別売りのクレードル用接点と、三脚のネジ穴。写真はRevolve+

ステレオモードが最高!

 指向性360度の円筒型スピーカーのよさは、2台のスピーカー間なら、どこでもスイートスポットに成り得て、かつ自然な音場感が得られる点。それはRevolveでも同じだった。

 大小Revolveの持てる能力を最高に発揮できるのは「ステレオモード」で使った場合だろう。もしこのスピーカーが2台あれば、スマートフォン用のアプリ「BOSE Connect」を使って、スピーカー同士をワイヤレスでリンクできる。なお、モノラルで2台を接続する「パーティモード」と、「ステレオモード」が選べる。

小型スピーカーの弱点消したBOSE「SoundLink Revolve」はステレオが最高
Android/iOS向けのアプリ「BOSE Connect」(画像はiOS版)。ペアリングや操作時の音声ガイドの設定などもできる

 今回はRevolveとRevolve+という音質差のあるペアで試すしかなかったが、左右スピーカー間の広い範囲で、包み込まれるような音場が成立することは確認できた。

 Bluetoothスピーカーということで、高域の解像感は大したことはないが、ステレオで使うとそこに空間表現が加わるため、そうした情報量の不足は帳消しになる。特にボーカルの聴き取りやすさは素晴らしい。バッテリー駆動でワイヤレスなので、レイアウトも自由だ。この機種を買ってもし気に入ったのなら、もう1台買い足してステレオにすべきだ。

 最後に数少ない欠点を挙げておくと、Bluetoothゆえに遅延は存在する。動画再生時には、わずかながら音声もズレる。ミュージックビデオでは、残念ながら結構わかってしまう。でもほんのちょっとだ。そこは気にせず音楽を楽みたい。