業務フローは「汚してナンボ」

「金食い虫で使えないシステム」になることを回避するためには、システムを企画し、要件定義する段階で、そのシステムを使うことになる個々のエンドユーザーに要件に関するヒアリングを行ない、「それぞれが何をしてほしくて、何をしてほしくないのか?」を明らかにする必要があります。

そして、ネガティブな意見への対応として、みんなが気づいていないシステムのメリットをていねいに説明したり、もしも反対意見があまりに多いようなら、システムの企画自体を見直す必要も出てくるわけです。

では、具体的に、どうやってそれを行なうのか。

業務フロー図に、前回紹介した「システム化の目的」だけでなく、エンドユーザー個々の要望を集約して、ふせんなどでメモ書きしておくのです。なんだか、業務フローがメモだらけになってしまいますが、業務フローは「汚してナンボ」です。

さて、次の図をご覧ください。ごく、簡単なものですが、前回紹介した架空の化粧品会社のWebマーケティングシステムを例にした業務フロー図に、「現場の人の思い」を書き足してみました(この図を見られない人でも、以降の本文で内容は理解できます)。

「こんなダメシステム使えない!」という悲劇を回避する「2つの質問」現場のエンドユーザーが「思っていること」も、業務フロー図に書き込んでおく

まず、一番大切なエンドユーザーである「顧客」は、新しいウェブサービスに期待してくれています。そして、Web相談窓口の担当者も喜んでいます。しかし、セールス部(営業部)の人は、「こんなのウチの売り方じゃない」と反発しています。マーケティング部も「役に立たないのではないか」と疑念を持っているようです。

これはつまり、新システムに関わるすべての人の「思い」を一覧したら、必ずしも全員がこのシステムに賛成しているわけではないことがわかった、ということです。もし、この工程をやらずにシステム開発を続けてしまえば、完成しても、「使えないシステム」になる可能性があるでしょう。

さて、問題点が把握できたところで、どうやって「みんなが喜ぶシステム」にするかを考えていきましょう。