三井造船が社内変革、業界再編・中韓への対抗につながるかFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積み出し設備)は、三井造船にとって成長が期待できる事業分野の一つだ 写真提供:三井海洋開発

「社員の意識改革を強烈な勢いで進めたい」。田中孝雄・三井造船社長が不退転の決意で社内変革に臨んでいる。

 5月22日、三井造船は来年4月に予定される持ち株会社体制への移行に向けて分割準備会社を設立した。75年間冠した三井造船という社名から「造船」の2文字を取って「三井E&Sホールディングス」に変更する方針も発表し、変革への意気込みを示した。

 三井造船の連結売上高に占める船舶事業の構成比は17%にすぎない。ディーゼルエンジンの製造や、プラントの設計、建設など、事業分野は多岐にわたっている。

 分社化については、「それぞれの事業に最も合った経営スタイルで意思決定を機動的に行うべく、経営陣の間ではかなり前から検討していた」(田中社長)という。

 実際に、各事業の独立採算制が徹底されていない現体制では、「自分が属する事業部門が赤字でも、どこかの事業部門が稼いでくれるという甘えがあった」と、三井造船社員は打ち明ける。これを機に、各事業が責任を持って収益を確保する組織体を目指す。