[12日 ロイター] - 米財務省は12日、2008年の金融危機後に導入された金融規制を大幅に見直す内容を盛り込んだ報告書を公表した。消費者金融保護局(CFPB)の権限縮小のほか、銀行の自己勘定取引を制限する「ボルカー・ルール」の緩和を提案した。

約150ページの報告書では100以上の見直し項目が並んだ。ムニューシン財務長官はインタビューで、提案の大半は議会を通すことなく規制当局によって実現可能と指摘した。

「われわれは大統領令と規制当局によって実現できるものに焦点を絞った。報告書の80%程度は規制の変更で対応できると考えている。残りの20%は法制定により実施する」と説明した。

報告書には、大手銀行のトレーディングに対する規制緩和や、ストレステスト(健全性審査)の負担軽減、消費者金融保護局(CDPB)の権限縮小などが盛り込まれた。

ムニューシン氏は声明で、経済を成長させ、消費者にさらなる選択肢を与え、納税者が大銀行を救済するような事態の再来を防ぐために規制の全面的な見直しが必要だと訴えた。

報告書はこのほか、ムニューシン氏が議長を務める金融安定監督評議会(FSOC)の権限拡大や、銀行の国際資本基準の見直しを打ち出した。また資産が500億ドル以下の銀行には大手行よりも規制を緩めるなど、小規模な金融機関に配慮する姿勢を示した。

米金融業界団体、金融サービス円卓会議の幹部リッチ・フォスター氏は、業界の懸念が真剣に受け止められたのは久しぶりだと述べ歓迎の意を示した。

一方、金融機関の規制強化を訴える民主党議員は反発。ウォーレン上院議員は「(報告書の内容は)大手行に顧客を欺くことを容易にするもので、新たな金融危機をもたらす」と主張した。

トランプ政権が規制当局を通じた見直しに成功すれば、議会との長期にわたる折衝などを避けることができる。

ホワイトハウスと議会は共和党が主導しているものの、上院民主党は法案を阻止することができ、大手銀行を対象としたルールを緩和する全面的な見直しを支持することはなさそうだ。財務省が提案する見直しの多くは、オバマ前政権時代の2010年に成立したドッド・フランク・ウォール街改革・消費者保護法によって導入されたルールを取り消すことになるためだ。

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