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吉田恒のデータが語る為替の法則

一触即発の円高で介入も!?日本政府は何を見て介入すべきかを判断している?

吉田 恒
【第141回】 2011年7月20日
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 「円高・米ドル安」が進み、3月以来の一触即発の動きになってきました。

 私は、この動きは長引かないと考えていますが、「100年に一度の危機」を再燃させかねないリスクも潜んでおり、予断を許さないところでしょう。

 今回は、介入再開の可能性も合わせて考えてみたいと思います。

足元で円買いが長期化しないと考えるワケは?

 米ドルは、3月17日(木)にザラ場(取引時間中)で76円台まで下落しましたが、その日の終値は79円を少し米ドルが下回ったところでした。

 その意味では、テクニカル的には、79円を完全に割り込んだら終値ベースの米ドル/円の最安値更新となりますから、一段安のリスクが高まりそうです。

 しかし、私は米ドルが一段安となったり、「米ドル安」が長引く可能性に対しては懐疑的です。そう考えている第1の理由は、円が「買われ過ぎ」気味になっているということです(「イタリア・ショックでユーロは今後どうなる?そして、米ドル/円は81.7円と83円がカギ!」など参照)。

 「資料1」は円のポジション動向ですが、経験的に5万枚前後の買い越しで限界のところ、すでに3万枚弱程度まで買い越しが拡大しています。

資料1

 

 円が「買われ過ぎ」気味になっている中で、もし「円売り」の介入が行われれば、円の売り戻しを誘発して効果は上がりやすいでしょう。

 いずれにしても、さらなる「円買い・米ドル売り」の余力に限りがある中では、円一段高・米ドル一段安にも自ずと限界があると思うわけです。

 そして、米ドル/円よりも要注意なのは、「資料2」のように、豪ドルなどが「買われ過ぎ」気味になっていることです。よって、その反動で売られやすいということではないでしょうか?

資料2

 

 それは米ドルの側から見ると、「米ドル高」に向かいやすいということです。

 その意味では、足元の状況は「ユーロ安」や「豪ドル安」から「米ドル高」が鮮明になる局面への移行期ではないかと、私は思っています。

米国債がデフォルトすれば、再び「100年に一度の危機」へ

 ただ、そういった中でまだ不気味なのは、8月初旬に期限切れが迫っている米国債の連邦債務上限引き上げ問題で、米国債のデフォルト(債務不履行)に対する不安です。

 普通なら、デフォルト回避で合意しそうなところですが、かつてはそんな「大人の決着」ができなかったこともあっただけに、予断を許さないところです。

 リーマン・ショック直後の2008年9月末に、米国の下院は金融救済法案(TARP)を予想外にも否決しました。この日のNY株式市場はリーマン・ブラザーズの破綻の日を超える急落となり、ある意味では、この時に「100年に一度の危機」突入が決定づけられたと言うこともできるでしょう。

資料3

 

 その意味では、今回のデフォルト回避は、「100年に一度の危機」を再燃させかねない問題です。しかも…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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