[ロンドン/香港 13日 ロイター] - 米財務省は13日、金融危機後に導入された金融規制を大幅に見直し、国際的に合意した規則の順守を先送りする計画を示した。欧州連合(EU)とアジアの規制関係筋は、金融規制を巡る国際協調が揺るがされるとの懸念している。

金融危機以降、世界の規制当局は20カ国・地域(G20)を通じて協調を強化してきた。

欧州議会の経済金融問題委員会のヤコブ・フォン・ワイツゼッカー議員(ドイツ)はロイターに対し、「トランプ大統領の提案は間違った方向を目指している。欧州では金融危機の教訓を忘れないよう気を付けなければならない。この問題で米国に追随するのは大間違いだ」と述べた。

米財務省は銀行の流動性を巡る国際合意の実施先送りや、銀行のトレーディング勘定に関する資本基準の抜本的な見直しを提案している。

しかしEUはこの2点の施行に向け、既に法律の草案を提出している。

欧州委員会のドムブロフスキス副委員長(金融安定担当)は記者団に対し、150ページに及ぶ米財務省の提案を詳細に調べると表明した。

バーゼル銀行監督委員会のコメントは得られていない。

<不公平な競争>

アジアの規制専門家らによると、米財務省の提案を受け、アジア地域の監督機関の中には国際合意の施行時期を見直すところが出てきそうだ。こうした機関はかねて、金融危機後に西洋諸国から規制改革を押し付けられていることに不満を抱いている。

デロイト(シドニー)のケビン・ニクソン氏は「公平な競争条件を巡る問題が生じるだろう。グローバル銀行はアジア地域で、ばらばらの規制に対処せざるを得なくなる」と述べた。

ただ、アジアの監督当局が銀行トレーディング勘定の規制強化を後退させるようなら、この地域に展開するグローバル行は概して恩恵に預かると、EY(香港)のアジア太平洋金融サービス・パートナー、キース・ポグソン氏は見ている。

米財務省は銀行の破綻処理の仕組みについても見直しを表明した。

あるEU筋は「見直し案の実施方法によっては、監督機関同士の協調に大きな問題を引き起こし得る」とし、「銀行の破綻処理を巡る国際協調全体を混乱させかねない」と懸念を示した。

<ボルカー・ルール>

米財務省は、銀行の自己勘定取引を制限する「ボルカー・ルール」についても、市場流動性への悪影響を避けるため見直しが必要だとしている。

ボルカー・ルールのEU版は現在、欧州議会で審議されている。

米財務省はまた、資産4兆5000億ドル以上の外資系銀行の米国内支店についての資本要件緩和を提案した。

米連邦準備理事会(FRB)は現在、こうした外銀に「中間持ち株会社」を設置させて資本を米国内に隔離するよう義務付けているが、提案では、これを変更して外銀による米国市場での投融資を促す方針だ。

EUも域内の外銀支店について同様の規則を提案しており、米国側が変更すればEUも再考を迫られるかもしれない。

(Huw Jones記者 Michelle Price記者)