[トロント 14日 ロイター] - 数カ月前には追加利下げにも言及していたカナダ銀行(中央銀行)は、国内住宅価格の大幅上昇と家計債務の拡大に伴い、金融引き締め姿勢に転じ始めている。中銀の次の一手が利上げになるとの観測も浮上している。

カナダ中銀のウィルキンス上級副総裁は12日、国内経済が成長を続ける中で、中銀は政策金利を過去最低水準に維持するべきかどうか検討すると語った。

ウィルキンス氏は、第1・四半期の成長率が「かなり印象的」で、成長の裾野が広がっているという心強い材料があったと指摘。「成長が続き、理想的にはさらに幅広くなるとともに、現在実施している相当規模の金融緩和がなお必要かを、中銀は判断することになる」と語った。

これを受けてカナダ国債5年物の利回り<CA5YT=RR>は20ベーシスポイント(bp)上昇した。カナダドル<CAD=D4>も、今週の上げが4月初旬以来の大きさとなる勢いで上昇している。

ウィルキンス上級副総裁に続き、ポロズ総裁も13日にCBCラジオとのインタビューで、国内経済は原油相場の急落による落ち込みから回復しており、2015年に実施した利下げはその仕事をほぼ終えたとの認識を示した。

CIBC・キャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ベンジャミン・タル氏は「明らかに住宅市場が要因だ。中銀は、住宅市場が抑制が利かない状態になることを回避しようとしている」と語った。

国内最大の住宅市場であるグレーター・トロント・エリア(トロント市とその郊外、GTA)の物件価格は4月に30%超上昇している。住宅価格の高騰は中銀の最優先課題となっている。

先週中銀は半期ごとの金融システムレビューで、トロントとバンクーバーの住宅市場について、金融ストレスにつながる恐れのある価格調整の可能性が高まっていると指摘した。

早期の利上げ開始により、中銀がより緩やかなペースで金利を引き上げる余地は拡大する。

前出のタル氏は「住宅市場の最大のリスクは利上げ幅ではなく、利上げ速度だ。利上げがゆっくり進めば市場が適応する余地が生まれる」と述べた。

中銀は2009年以降、政策金利を1%、もしくはそれを下回る水準で維持している。

ただ、トロントとバンクーバーの住宅価格は2009年以降2倍以上に跳ね上がり、家計の所得に対する債務比率も上昇している。

カナダ統計局が14日に発表したデータによると、第1・四半期の可処分所得に対する家計債務比率は166.9%に小幅低下。ただ、依然、過去最高水準近辺にある。

バンク・オブ・モントリオール・キャピタル・マーケッツの首席エコノミスト、ダウ・ポーター氏は「金融緩和が長期化し過ぎていると考えていた。インフレは目標水準を下回っているものの、過度の借り入れなど、他のリスクが浮上する可能性がある」と説明した。