望ましいのは地域主体の普及
買取ルールでその後押しもできる

 法案と政省令はもちろん大切だ。だが、この先さらに重要になってくるのは、望ましい普及のあり方を我々が法案の外側で用意していくことだ。

 例えば、東北の被災地限定で買い取り価格を一律上乗せするのも、一つの有効な方法だ。そうすることで、被災地における自然エネルギーの普及が加速する。その際には、地域の資本によって導入され、収益も地域に分配される仕組みが絶対条件になる。

 モデルは、2009年にカナダのオンタリオ州が導入したフィードインタリフにある。

 彼らは、地域の資本、地域の技術で作られるものは一律高く買い取るという「ローカルコンテンツ」というルールを定めた。地域経済の活性化のために、大事な政策だと言える。

 これに関連して、2010年にカナダのオンタリオで採択された「コミュニティー・パワーの3原則」というものがある。

①地域の人たちが自らの事業として行う

②意思決定に地域の人たちが関わる

③社会的・経済的便益は地域に分配される

 自然エネルギー開発・普及のための組織を作るときや出資構成を考えるときには、この3原則を満たす必要があるだろう。

 また、風力や太陽光は、一歩間違えば乱開発につながる。乱開発は、低周波公害や鳥の飛来への影響、景観の変化などの問題を引き起こす。それを予防するためにも、あらかじめ「ゾーニング」(あらかじめ開発地域を選定しておくこと)は必要である。

 ゾーニングに関しては特に風車で重視すべきだが、太陽光や地熱に関しても無視できるわけではない。メガソーラーを推進したいからといって、どこに作ってもいいわけではない。一口に農地といっても、使えないところもあるだろう。