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 6月18日、名古屋の繁華街・栄に位置する「ナディアパーク」内のデザインホールで「ポータブルオーディオフェスティバル2017 SPRING&SUMMER愛知・名古屋(ポタフェス名古屋)」が開催された。名古屋でのポタフェス開催は2015年のポタフェスLimitedから数えて3回目。前回から今の場所に会場を移して“フルサイズのポタフェス”とし、今回は国内外あわせて106のブランドが集結した。

イベントの目玉は、日本のユーザーに初披露目となる2つのハイエンドプレーヤー

 今回のイベントにおける一番人気は、アユートブースで出展されていたAstell&Kernの新フラッグシッププレーヤー「A&ultima SP1000」だ。5月にミュンヘンで開かれた「HIGH END」で発表され、国内では先日発売日が発表されたばかりのモデル。日本の一般ユーザー向けには、今回の名古屋が初披露となった。

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手に持った様子。AK380より一回り大きくなった
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AK300シリーズにあった拡張用のピンなども装備。ピン数は1つ増えて5ピンに。サードパーティーからのアクセサリーも期待しているとかしていないとか

 ブースにはステンレスモデルが3台持ち込まれ、先に発売された「KANN」2台と合わせて、これからの同ブランドを牽引するラインアップが並んだ。その注目度は極めて高く、11時の開場と共に大半の参加者が試聴を求めて同ブースへ殺到。わずか30秒ほどで長蛇の待機列が発生し、その後もなかなか行列は解消されず、ここだけ行列用ロープが張られていた。

 従来のフラッグシップ機「AK380」からUIが一新されてひとまわり大きくなり、ずしりとした金属塊の重量を感じる同機。音は極めて細密な表現を得意とするAK380と同系統のもので、低音のエネルギー感が増していた。試聴した参加者からは、口をそろえて「良い」「凄い」「素晴らしい」という評価が聞かれた。

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開場3分でこの行列。間違いなく注目度ナンバーワン。でも「待てば必ず聴ける」のは東京のイベント参加者にとってうらやましいところ
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スムーズな開場運営のため、急遽整理用ロープが用意された
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先着順で非売品のロゴ入りオリジナルバンドも配布された

 ミュンヘンで発表されたもうひとつのハイエンドプレーヤーとして、電流増幅回路が特徴的なQuestyleの「QP2R」も注目の的だ。最終版に向けて調整が続く同機が、従来機「QP1R」とともに、自社ではfinalブランドを取り扱うS’NEXTブースへ持ち込まれた。

 筐体形状は変わらずに、2.5mmバランス出力へ対応させるべく回路設計を一新したという同機。ソフトウェアなどは暫定版で、同社の森圭太郎氏「製品版とは異なる場合があり、正直なところまだなにが起こるかわからない」としながらも、少しでも多くの人に聴いてもらいたいという一心で今回の展示を決意。そのためか、同社は音には絶対の自信を持っている様子だった。

 7月15、16日に秋葉原で開催される「ポタフェス2017」ではより製品版に近いものが出せるだろうとする同社。発売日や価格、詳細な仕様といった情報公開は「もう少しお待ちください」としていた。

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もうひとつ注目の新作プレーヤー、Quyestyle「QP2R」も名古屋で日本初公開
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まだ開発中で製品版とは異なるとしながら、「これはぜひ音を聴いてもらわなければ」という熱意で出展が急遽決まったという
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新作(画像左)と旧作の「QP1R」(画像右)との比較。外観はホームボタンのロゴ以外ほぼ変わらないが、内部はバランス駆動に対応させるため、回路から一新したという
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注目のバランス駆動は2.5mm 4ピンタイプ。
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回路基板の大型化に対応するため、カードリーダーは1基になったという。あくまで音を最優先する姿勢を取っている
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別売りケースを付けた様子。革の質感は上々だ
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そのほかのアクセサリーとして、別売りでスタンドを用意する予定。USB Type-C端子だけで本体を支えるタイプだが、本体の端子保護パーツにiPhoneと同じものを使っているため、十分な強度を確保しているとしている

ユニバーサルIEMの2ブランド3機種も日本初公開

 同じS’NEXTブースには、フランスのIEMブランド「EAR SONIC」からも、日本初公開となる新製品が展示された。各チャンネルに2基ずつ、合計6基のBAドライバーを搭載した3ウェイモデル「S-EM6 V2」と、可変インピーダンス機構を採用した「VELVET V2」だ。

 低音を調整できるというイヤフォンはこれまでもあったが、インピーダンスを変えるというものは珍しい。音に対して大きな悪影響はなく、プレーヤーやアンプなどのシステムにあったインピーダンスが得られるという。参考展示のため、発売日や価格は近日発表予定としている。

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フランスのIEMブランド「EAR SONIC」からも日本初公開の製品が飛び出した
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3ウェイ6ドライバーモデル「S-EM6 V2」
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「VELVET V2」は可変インピーダンスというユニークな機構を採用。ちなみにラインアップの切り替えではなく、従来機と併売されるという

 コウォンブースには同社のハイレゾプレーヤー「PLENUE」ブランドを冠したイヤフォンが参考展示し、注目を集めていた。構成は4ドライバー3ウェイ、ケーブルはシルバープレートの4芯で、IEM 2ピンタイプのリケーブルが可能。スペックはある程度決まっており、高音が利いた音の傾向は現在最終調整中とのこと。

 同社は1ヵ月後の秋葉原には最終版にしたいとしており、発売は7月中、価格は5万円台を目指すとしていた。

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コウォン「PRENUE」ブランドからも、突如ユニバーサルIEMが登場。スペックはほぼ固まっており、今は音を煮詰めている段階だという。1ヵ月後に開催する秋葉原のポタフェスでは製品版が聴けることを期待したい

「ユーザーと一緒に創るオーディオ文化」を体現するイベント

 会場の奥ではオーディオライターの野村ケンジ氏が来場客と談笑。「野村ケンジ ポータブルオーディオ相談室」と題したブースを構え、テーブル上にはイヤフォンやプレーヤー、ケーブルといった野村氏の私物機材が並んでいた。その様子はまるで“オーディオしゃべり場”といったもので、時には来場者のシステムも積極的に試聴しながら、参加者として一緒にイベントを楽しんでいた。

 「昔はこういったイベントでメディア側がブースを構え、一般のユーザーさんと意見交換をするという光景も珍しくはなかったのですが、最近はあんまり見ませんよね。それって良くないと思うんです。オーディオ相談も出来る休憩場所みたいな空間を提供できればと思いながら、ブースを用意しました」(野村氏)

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おなじみのオーディオライター、野村ケンジ氏の「ゆる~い」ブース。隣にはe☆イヤホンの名物ユーチューバー・りょう太氏もブースを構えていた。メディアの壁が薄くなるのも、こうしたオーディオイベントの楽しみのひとつ
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野村氏のブースに並んだ私物機材の一例。中には大量の製品を聴いてきた野村氏でさえあまりお目にかからないような機材を持ち込む参加者もおり、野村氏が積極的に視聴をするという光景も少なくなかった

 A&ultima SP1000を初試聴できる機会ということもあり「来場者数は前年よりも確実に増加した」と、ポタフェスや専門店「e☆イヤホン」を運営するタイムマシンの松田氏は語る。来場者層も男女を問わずに幅広い年代で、名古屋でのイヤフォン文化定着に確かな手応えを感じている様子だ。

 「例年より来場者が多いこと、若い女性のグループや家族連れなど幅広いお客様がいらっしゃることは、運営している我々にとって大きな励みになります。もちろん2年前の初開催から熱心に参加してくださる方もいらっしゃり、名古屋にヘッドフォン文化がしっかりと根づいているなと感じます。

 加えてポタフェスには固定ファンがいるということも特徴です。今年は仙台からツアーを始めましたが、大阪や福岡に付いてきてくださる方をお見かけします。新製品を見るだけなら東京でのイベントで済むと思いますが、そういった熱心な方々はきっと“ポータブルオーディオシーンの今を感じたい”という気持ちでご来場いただくのでしょう。

 こうした方々と新規来場の方々が合わさって、とてもいい循環を生んでいます。11時開場のイベントに朝8時ごろからお並びいただく方もいて、運営側としては非常にやりがいがありますね。ぜひ今後も続けていきたいです」(松田氏)

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会場の「ナディアパーク」は、名古屋の中心街である栄に位置する複合商業施設
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開場を待つ長い行列。先頭の方は8時に到着したという。名古屋でも着実にポータブルオーディオ文化の芽が育っている