[19日 ロイター] - <為替>ドルが上昇。ニューヨーク連銀のダドリー総裁が賃金の上昇により国内のインフレ率が高まるとの見方を示したことを受けた。

円はドルとユーロに対して約2週間ぶりの低水準に下落した。日銀が16日の金融政策決定会合で金融緩和の解除に着手する可能性に踏み込んで言及しなかったことを受け、円が売られた。

主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.4%高の97.537となった。

ダドリー総裁はニューヨーク州プラッツバーグで開かれた企業関係者の会合で「インフレ率は望ましい水準を若干下回っているものの、労働市場の引き締まりが続き賃金も少しずつ持ち直すことで、2%の目標に緩やかに回帰するだろう」と述べた。

ダドリー総裁の発言は、低水準で推移しているインフレにより米連邦準備理事会(FRB)は年内は追加利上げに踏み切ることができなくなるとの見方を打ち消す格好となった。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの通貨ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「最近のインフレ指標の低下についてFRBは過度には懸念していないようだ。彼らは金融政策の正常化に万全を期すと表明している」と話した。

CMEグループのフェドウオッチによると、市場はFRBが12月のFOMCで利上げに踏み切る確率を47%と織り込み、確率は前週末の41%から上昇した。

フランス国民議会の決選投票でマクロン大統領の新党「共和国前進」が単独で過半数議席を確保したことも、ユーロを押し上げる要因となった。

一方、ポンド/ドル<GBP=D3>は0.4%安の1.2732ドルとなった。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る交渉が開始したことに伴い、ポンドが売られた。

<債券>国債利回りが急上昇した。米ニューヨーク連銀のダドリー総裁が金融政策に関してタカ派的な姿勢を示し、FRBが利上げを継続するとの見方が強まった。

ダドリー総裁は、今引き締めサイクルを停止すれば経済を危険にさらすとし、失業率が4.3%に低下し、インフレ率が1.5%程度で推移する現在の状況は「極めて良好」と指摘した。

DAダビッドソンの債券トレーディング部門バイスプレジデント、マリアン・ハーリー氏は「ダドリー総裁は、FRBが引き締めを停止することは過ちとの考えを示した」とし、「総裁は一般に、FRB内ではハト派の1人とされており、発言は引き締めの継続を示唆している」と述べる。

先週公表の5月の米消費者物価指数(CPI)も予想外に低下したものの、DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライアン氏は「イエレンFRB議長は、コアインフレ率の軟化について差し迫った懸念を示せなかった」とし、「議長のスタンスが今のところ、長期債を大きく支援している」と話した。

米5・30年債の利回り格差<US5US30=TWEB>は3カ月ぶりの水準となる100ベーシスポイント(bp)に縮小した。タカ派的なFRB政策が中期債の重しとなる一方、長期債はインフレ低迷が追い風となっている。

<株式>上昇し、ダウ工業株30種とS&P総合500種は終値で過去最高値を更新した。ニューヨーク連銀のダドリー総裁の発言で米経済への楽観的な見方が広がり、ハイテクなどの成長株に買いが入った。

BMOプライベート・バンクのジャック・アブリン最高投資責任者は、ダドリー氏の発言は現在のデータで明らかになっていない経済の基調的な強さに目を向けたものだと投資家が受け止めたようだと指摘し、「FRBの基本シナリオでは今は一時的な軟調局面であり、上向きの流れは続くということだ」と述べた。

これを受けて割高感から週間ベースで2週連続下落していた情報技術株<.SPLRCT>は1.7%上がった。ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ルシーニ氏は「投資家はハイテク株から一時的に撤退を余儀なくされたが、このセクター内の多くの企業は市場全体として見出すことが難しい成長を提供してくれる」と説明した。

金融株<.SPSY>もダドリー氏の発言を手掛かりに約1%上昇した。

ヘルスケア株<.SPXHC>は最高値を更新。バイオ医薬品のバイオジェン<BIIB.O>や製薬のクロビス・オンコロジー<CLVS.O>がけん引役となった。バイオジェンはUBSの投資判断引き上げを受けて3.5%高、クロビスは後期試験で卵巣がん治療薬の適用範囲拡大申請に道を開く結果が示されたため、46.5%急騰した。

また前週末にアマゾン・ドット・コム<AMZN.O>がホールフーズ・マーケット<WFM.O>買収を発表したことも市場心理を明るくした。

<金先物>反落。ニューヨーク連銀のダドリー総裁によるタカ派的発言を受けて対ユーロでドル高が進んだため、割高感から売りが出た。英国のEU離脱交渉の行方も不透明感が増していることから下値は限定的だった。

<米原油先物>反落。根強い世界の供給過剰懸念に圧迫された。

米ベーカー・ヒューズが前週末公表した国内の石油掘削リグ稼働数は22週連続で増加。米シェールオイル増産の動きに歯止めが掛かっていない実態が改めて確認され、早朝にかけて軟調に推移。その後は安値拾いやショートカバーで小幅ながらいったんプラス圏に浮上。しかし上値は重く昼前には再び下げ基調に転じた。リビアではドイツ化学大手BASF子会社やイタリアENIが操業する油田で相次ぎ生産が再開されたとの報が伝わったことなどから、世界的な需給不均衡の是正にはなお時間がかかるとの見方が広がった。