[東京 21日 ロイター] - 固定電話網(PSTN)をインターネット技術を使ったIP網に移行させるNTT<9432.T>の計画について議論してきた総務省の有識者委員会は21日、円滑に移行するための対応や課題などをまとめた報告書案を了承した。1世紀以上にわたり国民生活を支えてきた固定電話は裏側で新たな姿に生まれ変わる。

現在の固定電話網は要となる交換機がすでに製造停止となっており、2025年初頭には設備を維持できなくなる。このため、NTTは2024年初頭に固定電話網をIP網に移行させる構想を公表。ただ、移行の際には事業者間の調整や一部サービスが引き継げないといった問題が出てくるため、総務省は情報通信審議会に電話網移行円滑化委員会を設置、課題などを議論してきた。

「固定電話網の円滑な移行の在り方」と題した報告書案では、あらかじめ利用する電話会社を登録できるマイライン制度について条件付きで廃止手続きに入ることを認めたほか、IP網への移行完了までに固定電話の番号持ち運び制度を開始する必要があると指摘。さらにユニバーサルサービスとの関連で、利用者宅までのアクセス回線に光ファイバーや無線を活用することの可否についても検討する必要があると明記した。

現在、アクセス回線にメタルケーブルを使った固定電話は国民生活に不可欠な通信としてユニバーサルサービスに指定されており、NTT東西会社は全国一律に提供する義務を負っている。ただ、固定電話の加入者数が減少する中で、NTTは新規投資抑制などの観点から、今後、無電柱化エリアや地方の過疎地域でメタルケーブルを再敷設することが非効率的となる場合には、アクセス回線として光ケーブルや無線などを選択できるようにしてほしいと要望している。

固定電話の2016年3月末の加入者数は2250万件。ピークの1997年11月には6322万件にのぼったが、携帯電話の普及などもあり、この20年間で6割超減少した。NTTはIP網へと移行する2024年には「半分近くになる」(NTT東日本の矢野信二取締役、4月6日会見)と見込んでいる。

固定電話網がIP網に移行しても、利用者宅までのアクセス回線は従来のメタル回線を使うため、工事は不要で電話機もそのまま使える。移行に伴い、NTTは通話料金も変更。距離に依存しないIP網の特性を生かして、全国一律3分8.5円の通話料を導入する。

(志田義寧)