[ローマ 20日 ロイター] - イタリアの反体制派政党「五つ星運動」は世論調査で高い支持率を得ており、来る総選挙での政権獲得に向けてポピュリスト(大衆迎合主義者)のイメージを払しょくし、外国人投資家や金融市場の信頼を勝ち取ろとしている。

ただ、こうした努力の足かせとなっているのが、同党がユーロ離脱の是非を問う国民投票を実施すると約束していることだ。

選挙前にこの方針を撤回すれば他党、あるいは有権者もこぞって公約違反だと責めたてるだろう。逆に国民投票実施を掲げ続ければ、国際社会や市場から相手にしてもらえないというジレンマを抱えている。

五つ星運動はこうした苦しい立場を自覚しているようだ。有力幹部の1人であるカルラ・ルオッコ氏はロイターに対して国民投票は「交渉の手段だ」と強調。主要投資家や市場は「五つ星運動政権」がユーロ問題で本当に意図していることを、国民投票問題ときっちりと区別して理解できるはずだと説明した。

同党が求めているのはイタリアを含む経済状態がより低調な国を救うためのいくつかのユーロ圏のルール変更で、例えば欧州連合(EU)が定める財政赤字から公共投資を除外することや、域内の銀行不良債権を処理するための「欧州バッドバンク」創設などだ。

ルオッコ氏は「交渉の席に臨む際にはプランBを用意しなければならない。そして国民投票がわれわれのプランBだ」と語った。

ある五つ星運動の関係者は、これからは国民投票への言及をなるべく避ける作戦を立てたと漏らした。もっとも今月の世論調査結果では、五つ星運動支持者の58%がEUに好意的な見方をしていることが判明しており、同党が国民投票の公約を撤回しても支持者が失望しない事態もあり得る。

それでも五つ星運動の変わりようには驚かされる。わずか2年前には、同党は国民投票がイタリアの財政・金融面での主権回復にとって不可欠だと論じて、手続きを進めるために必要な署名を集めている。

ところが今は、そうした運動にブレーキをかけつつある。国政を担う場合の首相候補と目されるルイジ・ディマイオ氏は、ユーロ離脱の是非を問う国民投票は、選挙後少なくとも1年は実施できないとの見通しを示した。

実際にはそれどころか、イタリアの憲法が国際条約で規定された問題に関する国民投票を禁じているため、いざ実施という際の手続きは極めて複雑になり、政権任期の5年いっぱいかかっても終わらない公算が大きい。

ディマイオ氏は先週、ローマで欧州28カ国の大使を会談し、五つ星運動が政権運営能力を備えていると保証した。

ある大使は「ディマイオ氏は非常に親欧州的で、内部からEUの機構改革に取り組むと話していた。私の印象では、同氏はユーロ離脱を問う国民投票を約束したことを後悔しているようだった」と述べた。