[東京 22日 ロイター] - 住友生命保険の現預金が急増している。2017年3月末で約8800億円と前年同期比で倍増。運用利回りが低下する中、収益を稼ぐために保有する債券を積極的に貸し出した結果、担保として受け取る現金が急激なペースで増えたからだ。

5月下旬に同社が発表した17年3月期決算。目を引いたのは現預金の積み上がりだ。短期資金の主な運用手段であるコールローンも同様に前年同期と比べほぼ倍増の約2000億円となり、現預金と合わせて1兆円を超えた。

同社は通常、保険金の支払いへの備えや有価証券などへの投資に充当されるまでの待機資金として数千億円程度の短期運用マネーを保有しているが、これほどまで増加したことはほとんどない。

生保各社は日銀の大規模緩和以降、超長期国債の金利低下で運用難に直面。他の大手生保などでも、投資先を見失った資金が現預金として滞留する傾向にあるが、住生の現預金の急増は債券貸借取引の積極化が原因と同社の藤村俊雄運用戦略室長は説明する。

同社の17年3月末の貸借対照表では、「売現先勘定」として約5570億円が計上されている。前年同期はこの項目には金額は計上されていない。また、「債券貸借取引受入担保金」として、約7000億円とあり、これは前年同期から1000億円以上増えている。

どちらも住生が保有する国債などの債券を貸すことで、貸借料を受け取るレポ取引だ。同時に取引の相手から担保として現金を受け取るため、同社の現預金が積み上がった。レポ取引終了時には住生は債券を返してもらうと同時に、担保の現金を相手に返すことになる。

藤村氏によると、国内金利の低下を受け、約2年前から収益確保のために資産の有効活用を検討し始めたという。「保有している債券を寝かせておくよりも、貸し出すと品貸料がもらえる」(藤村氏)。

日本証券業協会がまとめている短期金融市場の重要な指標レートのひとつ「東京レポ・レート」は、日銀がマイナス金利政策を導入して以降、マイナスとなっている。レポ・レートは、現金に対する金利から貸借料率を差引いて算出しており、債券の貸し手が受け取る貸借料率のほうが、現金担保を出した借り手が受け取る金利よりも高いことを示す。

日銀による積極的な国債の買い入れで「市場に流通する債券が品薄になり、品貸料が上がっている。利ざやが薄くなっている中で、相対的に債券貸借取引が収益に与える影響が大きくなっている」(藤村氏)ため、住生は今年度も引き続き債券の貸借取引をしていく考えを示した。

(浦中大我 編集:田巻一彦)