[ロンドン 25日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は25日に公表した年次報告書で、主要国の中央銀行は金利引き上げを進めるべきだと指摘し、その過程で一定の金融市場の動揺を乗り越えなければならないことを認識する必要があるとの見方を示した。

報告書では、ここ1年に景況感が急速に回復したことを受け、世界の経済成長率が近く長期平均の水準に回復する可能性があると指摘した。

その上で、高水準の債務や生産性の低い伸び、政策効果の低下など一部でリスクが残るものの、政策当局は景気見通しが改善する一方でそうした改善が意外なほどにインフレに影響していない状況を好機ととらえ、量的緩和と歴史的低金利の「大いなる巻き戻し」を加速するべきとの見解を示した。

インフレが抑制されている状況については、新しい技術や労働慣行が要因となっている可能性があるとしながら、失業率の低下が続けば従来通りの影響が生じてくるとした。

BISのリサーチ部門責任者ヒュン・ソン・シン氏はロイターに対し「対応が遅れた場合、巻き戻しの実現がはるかに困難になる」とし、「仮に巻き戻しの過程で一時的な動揺が生じるとしても、方針を貫き正常化に着手することが好ましい」と言明、動揺を全て取り除くことは「不可能とは言わないまでも、非常に難しい」との見方を示した。

また「(世界経済は)非常に長期にわたる金融緩和の局面から脱しつつあることから、何を行うにも極めて慎重に対処する必要がある」と述べた。

BISは世界経済の見通しに対する中期的なリスクとして、突然のインフレ加速、金融サイクルの収縮期に絡む金融市場のストレス、保護主義の台頭、消費の低迷が投資拡大によって相殺されない状況の4つを挙げた。

突然のインフレ加速の可能性は、少なくとも現時点では低いとみられ、シン氏は、主要国で景気が上向く一方でインフレや賃金の伸びが抑制されていることにBISとしても驚いていると述べた。

こうした中、中銀にとって、新しい技術や労働慣行が経済モデルの要素を根本的に変えたのではないか、インフレを一定水準に保つことをこれまでのように重視することが適切か、といった疑問が生じてくる。

これについてシン氏は「当然インフレだけが重要な要素ではない」とし、「少なくとも金融市場の動向も注視するべきだ」と語った。

BISは報告書で、インフレを巡る不透明感が金利をどこまで引き上げるべきかの判断を一段と困難にすると指摘し、「実際には、中銀は終点を定めずに行動する以外にほとんど選択肢はない」との見方を示した。