非営利組織の経営
ダイヤモンド社刊
1800円(税別)

 「自らの成長のためには、自らに適した組織において、自らに適した仕事につかなければならない。そこで問題になるのは、自らの得るべきところはどこかである。この問いに答えを出すには、自らがベストを尽くせるのは、いかなる環境かを知らなければならない」(『非営利組織の経営』)

 大きな組織のほうが仕事ができるか、小さな組織のほうができるかはわからない。人と一緒に仕事をするほうがよいか、1人のほうがよいか。不安定な状況のほうがよいか、その逆か。時間の重圧があったほうがよいか、ないほうがよいか。迅速に決定するほうか、しばらく寝かせないとだめなほうか。

 われわれは気質や個性を軽んじがちである。だがドラッカーは、気質や個性は訓練によって容易に変えられるものでないだけに、重視し、明確に理解することが必要だという。

 得るべきところはどこかを考えた結果が、今働いているところではないということであるならば、次に問うべきは、それはなぜかである。

 組織の価値観になじめないからか、組織が堕落しているからか。もしそうであるならば、人は確実にだめになる。自らが価値ありとするところで働くのでなければ、人は自らを疑い、自らを軽く見るようになる。

 「自らがところを得ていないとき、あるいは組織が腐っているときには、辞めることが正しい選択である。出世はたいした問題ではない」(『非営利組織の経営』)