[ロンドン 23日 ロイター] - 企業や投資家が為替の急激な変動をヘッジするために活用するオプション市場ではここ何年も、ユーロは政治的、構造的に英ポンドよりもリスクが大きいとみなされていた。それが今や、状況は様変わりしている。

英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が決定された昨年6月の国民投票前後の政治、市場の混乱を踏まえ、投資家は今、向こう数年間のポンドについて、ユーロよりも高リスク通貨と考えている。

2012年までさかのぼるロイターのデータによると、期間3、5年のリスクリバーサル(ポンド買いもしくは売りオプションの取得コスト)はほぼ一貫して、ゼロを下回っていた。つまり、暴落のリスクに対するユーロのヘッジコストがポンドより常に高かったことを意味している。

ところが、期間3、5年のユーロ・ポンドのリスクリバーサルは2016年前半に大幅に上昇し、その後もプラス圏での推移が続いている。これは、テールリスク(確率は低いが、発生すると非常に巨大な影響をもたらすリスク)が、今やポンドのほうが大きいということだ。

政治的、経済的な不透明感を背景にポンドが売られる中で、ユーロ/ポンドの5年のリスクリバーサル<EUGB5YRR=>は22日、11カ月ぶりの水準に上昇。ポンド安のバイアスが強まっていることが示された。

<ユーロ崩壊予想は過去のものに>

銀行関係者は、ポンドが今後さらに急落すると予想することには慎重な姿勢を示している。しかし一部では、リスクリバーサルの変動は政治リスクの大きな変化を反映していると指摘、ブレグジット交渉が不調の場合にポンドに何が起きるのか、問い掛ける声も広がっている。

ある銀行関係者は「リスクリバーサルは恐怖心理を織り込む」と話す。「投資家が大きな動きを想定しているということであり、ここ5年間は、投資家の念頭にある大きな動きとはユーロ崩壊だった。(リスクリバーサルの変化は)テールリスクの変化を示唆している」と語った。

先の英総選挙はメイ首相が率いる与党・保守党が過半数を失う結果に終わり、ポンドのボラティリティー指標はこの2週間に急上昇。世界のボラティリティー指標が極めて低い中、対照的な動きだ。

アナリストは、中長期的なリスクリバーサルの動向はポンドの信頼感により幅広い疑問符がついていることを示唆している、としている。

BNPパリバの在ロンドンのストラテジスト、サム・リントンブラウン氏は「市場は、ポンドの急激な下落をヘッジするために、より高いプレミアムを支払ってもよいと考えている。様変わりだ」と指摘する。