時計の針が瞬時に逆戻りするレトログラード。その複雑機構を生かして時間の尊さを伝えるフランク ミュラーは、天才時計師にして時の本質に迫る稀有(けう)な哲学者でもある。文=菅原 茂 写真=奥山栄一

トノウ カーベックス™
レトログラード セコンド
ケースは創業当初しか作られず、現行品には存在しない貴重な2851サイズを再現。6時位置に世界初となる、反復針によるレトログラード秒表示を配置。18KYG、ケース縦45㎜×横30㎜、自動巻き、限定25本。270万円

 時間とはなんとも不可解だ。時間は過去から現在、未来へと絶え間なく流れてゆくように思えるが、相対性理論の提唱者アインシュタインは、「過去・現在・未来という考えは幻想にすぎない」という有名な言葉を残した。では、時間とは一体何なのか? 昔も今も時計製作に携わる者なら「時間とは何か」を問うたはずだ。時を目で見える形に変えて示すのが時計であっても、それが表現する肝心の時の本質を客観的に定義するのは、科学者でも実は困難なのだ。

 そこに一種の哲学的なアプローチから切り込んだのが、天才時計師にして複雑時計の巨匠として称賛されるスイスのフランク ミュラーだ。今年ブランド創設から25周年という記念すべき節目を迎えたが、時計において、時間の主観性と客観性をあらためて問うユニークな試みをしばしば実践してきた。その根底には「時計は、時が永遠に続くように錯覚させるが、実際に人間にとって時は有限であり、過ぎ去った過去は戻らない。だからこそ、貴重な時を尊ばなくてはならない」という考えがある。

2851サイズはトノウ カーベックス初の防水ケース。裏ぶたをラグの内側からケースにビス留めした2851サイズ独特の構造を忠実に再現するこだわりぶり

 そして、尊ぶべき時間を並外れた発想と時計師ならではの高度な技術によって具体的に表現しているのがフランク ミュラーの素晴らしさ。代表例の一つが「レトログラード」と呼ばれる複雑な機構だ。「逆行」を意味するレトログラードは、連続的な回転運動とは違い、時計の針が始点から動き始めて終点に達すると瞬時に始点に逆戻りする反復運動に特色がある。

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