6月23日、米自動車大手フォード・モーターは、次世代コンパクトカー「フォーカス」の生産を当初検討していたメキシコではなく中国に移し、北米に輸出する計画を発表した。写真は中国重慶市のフォード工場。2012年4月撮影(2017年 ロイター)

[メキシコ市 23日 ロイター] - 米自動車大手フォード・モーターは20日、次世代コンパクトカー「フォーカス」の生産を当初検討していたメキシコではなく中国に移し、北米に輸出する計画を発表した。トランプ米大統領の政策方針により打撃を受けてきたメキシコの自動車業界に、新たな暗雲が垂れ込める格好となった。

 フォードは今年1月にも、メキシコ中部サンルイスポトシ州に18億ドルを投じて工場を建設する計画を撤回している。

 トランプ氏は昨年の米大統領選で、メキシコが米製造業を空洞化させていると非難、メキシコで生産された自動車に高い関税を課す方針をちらつかせて、フォードに工場建設計画の撤回を迫っていた。

 その後、トランプ政権のメキシコに対する姿勢は強硬色が弱まり、メキシコと米国は8月に始まる見通しの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に際し、双方に恩恵をもたらす方向で協議できると自信を表明した。

 だが中国における自動車生産が増加し品質も改善する中、フォードがフォーカスの生産地を中国に決めたことは、メキシコがアジアとの競争に直面していることをあらためて思い起こさせた。

 投資銀行ジェフリーズの自動車業界担当アナリスト、Philippe Houchois氏は「中国で生産される自動車の品質は長い間、世界の基準に達していなかった。(メキシコに有利な)差があったのだが、差は埋まりつつある」と指摘。「そのことが恐らく、メキシコに脅威となる」と述べた。

 過去10年間にわたり世界の自動車メーカーは中国の工場に対し、先進国市場向けの品質の自動車を生産できるようにするため多額の資金を投じてきた。

 フォーカスを巡る決定からは、メーカー各社が輸出向け自動車の生産地を中国とメキシコのどちらにするか、柔軟に選ぶようになっていることが分かる。

 また米ゼネラル・モーターズ(GM)もコンパクトカー「シボレー・クルーズ」の生産で類似した状況に直面している。

 仮にGMがクルーズの生産を米国から外国へ移す方針を決定すれば、メキシコでの生産を増やす可能性がある一方、瀋陽や煙台など中国での生産に踏み切ることも考えられる。

 GM広報のパット・モリッセイ氏は「クルーズは世界のGM工場で並行的に生産しているグローバルな商品であり、販売する場所で生産するのが当社の基本方針だ」と語った。