[ロンドン 27日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)の金融行政委員会(FPC)は27日、銀行に114億ポンドの自己資本積み増しを求める方針を明らかにした。

1年間の導入期間を設け、カウンターシクリカル資本バッファー(CCyB)を現在のゼロから0.5%へ、11月にはさらに1.0%へ引き上げるという。2段階にわたる0.5%ずつの引き上げで、英銀の自己資本要件は57億ポンドずつ増加する。

英銀の多くはすでに最低水準を上回る自己資本を確保しており、新たな財務増強の必要性は低いとみられる。

FPCは、昨年の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票後、信用状態がひっ迫する恐れがあるとしてCCyBの積み増しを見送っていた。ただ、同国経済は投票後に予想されていた状態より堅調であり、主要な政策金利を引き上げる時期が到来したと考える中銀関係者もいる。

FPCは、金融システムに起因する経済全体に対するリスクは「標準的」な水準に戻ったとし、、銀行は現在の良好な環境によってしか得られない損失の少ない状態に依存し過ぎていると指摘。将来の問題に備え、銀行はより多くの資金を積み立てておく必要があるとの見解を示した。

BOEは「標準的な環境でよくあることだが、警戒を正当化する一部のリスクが存在する」との見方を提示した。

BOEは引き続き、EU離脱に向けた英銀の準備状況を監視していると説明。英国が2019年にEUとの貿易協定がまとまらない状態で離脱し、英銀から大陸欧州の顧客が切り離され、金融安定性が損なわれた場合「そのようなシナリオでは、コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)や準備とが最も有効となるだろう」と述べた。

英中銀のカーニー総裁は記者会見で、「金融政策は金融安定を巡る問題に対処するための最終的な手段である」とし、今回の措置は金融政策が近く引き締められることは示唆していないと述べた。

BOEは、国内規制当局が来月、個人向け融資の規制強化を発表すると明らかにした。さらに、個人向け融資の損失に銀行が耐えうるかどうかのチェックを当初予定していた11月から9月に前倒しで行うと発表した。

以前指摘された世界的なリスクの一部は具体化していないと説明。ただ、民間部門の借り入れが年間の経済生産の2.5倍以上に達している中国から発生するリスクを警戒し、「高水準の借り入れは、中国を衝撃に対してぜい弱にする。これは世界経済や英銀行にも影響を及ぼす」と指摘した。

英企業の社債と商業不動産の価値は過剰評価されているとし、これらの価値は低金利により底上げされたが、低金利が弱い経済見通しを反映しているということが考慮されていないようだと説明した。

「現在のロンドンのウエストエンドのオフィス物件価格は推定される持続可能な評価水準を大きく上回っている」との見方を示した。

FPCは、昨年の自己資本算出基準の変更を反映させ、国内銀行の最低レバレッジ比率を3.0%から3.25%に引き上げた。

中銀は英国のEU離脱については、実際に離脱する2019年に向けた国内行の準備状況を引き続き監督すると表明。このほか民間部門の借り入れが急速に伸びている中国に絡むリスクについて警告し、「債務が膨れ上がれば中国は衝撃に対しぜい弱になり、英国の銀行のみならず世界経済全体が影響を受ける」とした。

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