京浜工業地帯の川崎は工場夜景の写真撮影スポットとしても人気を集めている

自虐の川崎は
「世田谷にも横浜にも住めない人が住むところ」?

 横浜、湘南に加え、神奈川には逗子、葉山、鎌倉、箱根など確立されたブランドがありそれぞれにプライドがあるようだが、そんな中にあって少し自虐的なのが川崎市民である。彼らは横浜カーストと東京カーストの狭間で揺れ動いているようだ。

「川崎は、世田谷にも横浜にも住めない人が住むところ」と言うのは、人生の大半を川崎で過ごし、現在は溝の口在住の40代男性だ。

「溝の口なのに、住んでるところを聞かれると、『ニコタマのほう』って東京のふりをする人もいる。そりゃみんなお金があれば世田谷に住みたいんじゃないですか?」

 多摩川を隔てて世田谷区(東京)と川崎(神奈川)に分かれるが、川を越えるだけで賃貸の家賃なら2万円ほど、家の値段なら数千万円も差が出るというのは有名な話だ。

 新百合ケ丘(川崎市)在住を経て、世田谷区に移り住んだ女性が言う。

「世田谷のほうが、ちゃんとしてる、という感じはありますよね。新百合(ヶ丘)の目指しているところは、ニコタマだと思います。横浜は東京になりたいとは思ってないかもしれないけど、新百合は東京になりたいと思っているはず」

 とはいえ、一度開き直ってしまえば、暮らしの満足度はかなり高そうだ。前出の溝の口在住の男性は、

「川崎北部は住むにはオススメですよ。通勤にも便利だし、買い物するにもスーパーは都内より安い。生活コストが抑えられます。学校や病院もそろっているし、道も広くて車の運転も楽」

 ここで彼が「川崎北部は」と限定したのは、暗に川崎市内にもヒエラルキーがあることを示している。川崎市出身の別の40代男性は「北部と南部ではまったくカルチャーが違う。俺は北部出身。工業地帯で公害が多いイメージなのは南部」と語った。いやはや、奥が深い……。