NG資料が劇的に変わる!資料改善ビフォアアフター3選

 こんにちは、人材育成コンサルタントの清水久三子です。私はIBMにて戦略コンサルタントとしてのキャリアを経て、多くのコンサルタントの人材育成を行ってきました。現在ではビジネススキル系の書籍の執筆・講演・研修などで、皆様のビジネスの実現をご支援する仕事をしております。

 ビジネスで作成する資料には、顧客への提案書や社内での企画書や報告書など様々なものがありますが、いずれも自分の考えを伝え、相手を動かすものであり、非常に重要な役割を果たします。にもかかわらず、体系的に学習する機会がないために、自分の意図が的確に表現できていなかったり、むしろ間違った表現をしてしまっているために、相手の方に理解のために余計な負荷をかけてしまっていることが多いようです。また、近年のオフィスツールは機能も豊富であるため、それを使うことに翻弄されて資料作成時間が無駄に長くなってしまっていることも。

 資料作成の基本的な知識があれば、シンプルで相手に確実に伝わる資料をより短時間で作成することができます。より理解を深めていただくために、よくあるNG資料とその改善例をご紹介します。

多くの人が陥る「何でも〇〇グラフ」

 顧客アンケート調査報告や、市場シェアなどでよく使われるグラフ…というと円グラフを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?実は最も使われがちでありながら、最も使わないほうがよいのが実は円グラフです。円グラフは割合を角度や面積という正確に比較しにくいものに頼る表現のため、詳細な比較には向いていないことが理由です。そのため、コンサルティング会社やリサーチの会社では使用を禁止しているところもあるくらいなのです。

【Before】

 しかしながら、グラフ作成に慣れていない人が一番飛びつきやすいのが円グラフ。私の周囲でも“いつでも何でも円グラフ”という人がいました。その改善例がこちらです。

【After】

 図は事業の内訳の推移を示したいと意図で作成されたものですが、作成した人に「これは、宅配便のお届け時間帯指定チャートですか?」と言いたくなるのを飲み込みました。円グラフはある時点でのスナップショット(一時的なイメージ)として使う分にはよいのですが、時系列での比較には向いていません。このケースであれば、アフターのように積み上げ棒グラフにすれば、棒の長さという目でも見て分かりやすいもので比較できます。

 基本のグラフとその用途を知っていればこのような見にくいグラフを、時間をかけて作成することはなくなります。