[シントラ(ポルトガル) 28日 ロイター] - 複数の関係筋は、今週のユーロ高につながったドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の発言について、総裁は弱めのインフレ期間への容認を示したものであり、差し迫った政策引き締めを意図していないとの見方を示した。

ECBはコメントを差し控えた。

27日の欧米金融市場では、ドラギ総裁の発言は金融緩和解除に向けて地ならしとの受け止めが広がり、ユーロが急伸。国債利回りが跳ね上がった経緯がある。

だが関係筋によると、ドラギ総裁は、足元の力強い指標を認め、秋に予定されている資産買い入れの延長、または縮小の決定に向け、言質を与えることなく市場を備えさせることを目指していた。金融緩和の解除について、早ければ9月にも検討する可能性があることを示す狙いがあったもようだ。ただ、その時点で決定が下されるかは全く定かではない、と関係筋は強調する。

また最近のインフレ鈍化を受けて、ECBが自動的に金融緩和を実施することはないとの旨を伝えたかったという。

一部では、前日のドラギ総裁の発言を巡る反応について、2013年にバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長が資産買い入れ縮小の可能性に言及し、国際金融市場が大混乱した「テーパータントラム」に重ねる向きもある。FRBは結局、その後方針を撤回、翌年まで縮小の先送り余儀なくされた。

だが当局者は足元のユーロ圏のインフレ鈍化は、過剰供給による原油安が要因だと確信している。インフレ鈍化とともに、経済全般で弱含みの兆候が出ていた2014─15年当時と状況は異なると主張する。

原油を輸入に頼るユーロ圏にとって、長期インフレ期待に影響を及ぼさず、賃金の伸びの足かせとならない限り、原油安は成長押し上げの恩恵も期待できる。

つまり、ECBは現在のインフレ低迷への対応で刺激策を拡大する意向はなく、一方で緩和解除を急ぐこともしない。こうした状況を背景に、ECBはインフレ目標達成に一段の時間がかかることを許容する方針だという。

関係筋によると、ドラギ総裁は前日、ユーロ高や欧米金利の上昇などを受けて金融状況の引き締まりが見られれば、ECBは依然として、金融政策を緩和する用意があると示唆したが、「市場は総裁が発した注意書きを見逃した」としている。

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