日本人は顔の見える支援をしたいと考えている

 震災ですっかり忘れられてしまいましたが、昨年の暮れから今年のはじめにかけて、全国で「タイガーマスク運動」が盛り上がりました。

 タイガーマスク運動とは、「伊達直人」を名乗る人物が、児童相談所や児童養護施設にランドセルや文具などを匿名で寄贈した現象です。

 一連の出来事から、日本人の善意に関するもう一つの特徴が浮かび上がります。日本人は、善意を直接届けたいと思う人が多いのではないでしょうか。

 児童施設の役に立ちたいと思う人は、全国児童養護施設協議会などの団体に寄付したりするなどの効果的な寄付が考えられるはずです。

 しかし「伊達直人」は、そうした団体を通じて贈りたいとは思わなかったのではないでしょうか。子どもたちに手渡すことはできなくても、直接届けることで子どもたちの喜ぶ姿を想像したかったのではないでしょうか。

 ビッグイシューにしても、雑誌の代金300円をホームレス支援の協会のような団体に寄付するのでは意味合いが変わってしまいます。

 ホームレスの人に代金を直接手渡すことで、渡すほうも自分も実感できる。良いことをしたという実感を得られることを望んでいるのではないでしょうか。直接届ける善意だったら自分もやってみたいという心理は、震災前の日本人に強く表れていました。

 今回の震災では、義援金を個人が直接届けるのは困難でした。

 多くの人は義援金や支援物資を被災者に直接手渡すことは叶わず、日本赤十字社や役所をはじめとする団体に託すしかありませんでした。その義援金がいつになっても被災者に届かない情況には、相当いらいらしたことは当然だったでしょう。