[東京 29日 ロイター] - 山本公一環境相は29日、ロイターのインタビューで、日本が掲げる2030年度の温室効果ガスの排出削減目標は十分達成可能だとする一方、全国で相次ぐ石炭火力発電所の新増設計画がすべて実現した場合、目標達成に大きな支障になると述べた。

日本は、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度比26%削減する目標を掲げている。目標達成の見通しについて、同相は「日本は、経済成長と気候変動対策を両立させてきた国。26%(削減)は十分実現可能な目標だ」と述べた。

ただ、新増設が計画されている石炭火力発電所が「全部稼働されたら、目標にとって大いなる支障を来すことは間違いない」と指摘。環境負荷が大きい石炭火力発電に対しては世界的に縮小の動きがあり「世界の潮流の中で、石炭を燃料とする火力発電は時代遅れ」との見方を示した。そのうえで、「企業家なら世界の潮流を大事にしなければいけない」とし、計画の見直しに向け期待を示した。

<カーボンプライシング検討すべき時>

日本は2050年までに温室効果ガスを80%削減する目標も掲げている。二酸化炭素(CO2)に値段をつけ、排出への費用負担を課す「カーボンプライシング」については「2050年の目標は脱炭素で、その目標を考えた場合、一番有効なツール。多くの先進国がすでに導入しており、情報をもらって日本に向いたカーボンプライシングの在り方を検討すべき時が来ている」と明言した。

排出削減の政策手段となるカーボンプライシングは、炭素税や排出量取引が代表例となるが、経済産業省は、エネルギー諸税などで日本の炭素価格は他国に比べ高水準として、導入には消極的な姿勢を示している。

<米国のパリ協定離脱には失望、希望は捨てず>

米国のトランプ政権が、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明したことについては「失望した」と述べた。

ただ、その後、米国の州政府や企業から決定を批判する様々な反応があったと指摘。「米国内における対策はあまり後退しないのではないかと期待もしている。動揺はあったが、希望は捨てていない」と述べた。

温暖化対策における今後の日本の役割について「国内対策を最優先でやっていくことはもちろんだが、他の国に対しても貢献をしていきたい」と語った。

同相は、1997年に日本で開かれた気候変動枠組条約締約国会議で「京都議定書」が採択された時に環境政務次官を務め、それ以来、環境問題に高い関心を持って取り組んできた。

京都議定書採択後に日本製のハイブリッド車が世界中で普及したことを指摘し「日本は規制という窮地に陥れば陥るほど、イノベーションが進む国だ」と述べ、今後の進展にも期待を示した。

今回のパリ協定離脱を、2001年にブッシュ米大統領下で米国が京都議定書から離脱したことと比較し、「京都は先進国の取り組みを促す議定書だったが、今回は全ての国が参加するところまできた。同じ離脱でも比べものにならないくらい意味合いが大きい」と語った。

(大林優香、宮崎亜巳 編集:田巻一彦)