AV機器特集

 この夏の猛暑をしのぎ、快適な暮らしを送るためのAV機器特集。その第3弾は、オーディオ編。おすすめのAVアンプからポータブル音楽プレーヤー、ヘッドフォン/イヤフォンを紹介する。

 今やオーディオと言えばハイレゾ対応がマストと言えそうな状況だが、一方で最近の大きなニュースと言えば、ハイレゾ音源をストリーミングも可能な情報量で圧縮でき、しかも高音質という新フォーマットの「MQA」が登場したくらい。

 つまり、すでにハイレゾ環境が整っている人にとっては、あまり買い換え意欲もわかないタイミングではある。

 だが、そういう時期ほどなかなか魅力的な商品が登場してくるというもの。そんな注目の新アイテムを紹介していこう。

ついにDolby Atmos/DTS:Xに対応!!
音質にこだわったソニー「STR-DN1080」

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ソニー「STR-DN1080」

 まずはAVアンプ。4KテレビやUHD BD対応のBDレコ/プレーヤーを紹介した以上、こちらもぜひとも注目してほしい。4Kコンテンツの高精細な映像には、臨場感あふれる最新のサラウンドが欠かせない。

 ソニーの「STR-DN1080」(実売価格 7万円前後)は、6月に発売されたばかりの7chパワーアンプ内蔵AVアンプ。

 最大のトピックスは、ついに最新のサラウンド規格であるDolby Atmos/DTS:Xに対応したこと。5.1.2ch再生が可能だ。

 また、自動音場補正機能として高級モデルで採用されていた「D.C.A.C.EX」を採用。スピーカーの周波数特性、位相特性を揃えるだけでなく、スピーカーの左右の位置のズレなどを補正する「スピーカーリロケーション」も備えている。

 部屋の形状や家具の配置の関係で、各スピーカーの配置が理想的とならない場合でも、最適な配置を再現できる技術で、たくさんのスピーカーを配置するサラウンドシステムでは実にありがたい。

 さらに、5.1.2ch構成でも7.1.2ch相当の再現が可能になる「ファントム・サラウンドバック」機能も盛り込まれた。

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本体前面。右側にハイレゾロゴがある。Bluetooth内蔵でNFCにも対応する
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本体背面。6つのHDMI入力と2つの出力を備える。Wi-Fiアンテナが2つあるが有線LAN端子も備える

 もちろん、従来からの高音質設計にもぬかりはない。デジタル基板用に一体成型メタルフレームを新設計し、より振動に強い構造を実現。デジタル基板自体も、32bitDSPを3基搭載し、高度な信号処理能力を獲得している。

 しかも、音場処理をはじめとするデジタル処理はすべて32bit処理となっており、ビット変換などをしないため、より純度の高い信号処理が可能になっている。

 そして、ネットワークオーディオ機能も充実。DSD最大5.6MHz、PCM最大192kHz/24bitのマルチチャンネル音源にも対応する。

 ネットワークも2.4/5GHz対応のデュアルWi-Fiで、Bluetoothにも対応する。マルチチャンネル再生はもちろん、ステレオ再生でも優れた音の実力を存分に楽しめるようになっている。

 高機能化にも関わらず、ボディーの背の高さが156mmと低くなっているのも注目。最近の薄型テレビ用のラックにも収納できるようにコンパクト化をしているとのこと。

 AVアンプはサイズが大きくて置けないと思っていた人にはありがたいだろう。

世代を重ねるごとに激しく進化!! 操作性も大幅に向上した
FiiO「X5 3rd generation」

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FiiO「X5 3rd generation」。3.97型IPS方式のタッチパネルディスプレーを採用し、すっきりとしたシンプルな外観となっている

 ポータブル音楽プレーヤーは外で使うもの、と思われるかもしれないが、集合住宅などあまり大きな音を出せない環境ではポータブル機のほうが利用機会が多いはず。

 もちろん、長期休暇を利用した帰省や旅行などのお供としても大活躍する。大好きな音楽で暑い夏もさわやかに過ごしたい。

 このジャンルも手頃な価格のモデルから、数十万円もする超高級モデルまで、多彩に展開しているが、注目したいのは、手頃な価格のモデル。ハイレゾの高音質がぐっと身近になってきているのだ。

 ここで紹介するFiiOの「X5 3rd generation」(実売価格 5万円前後)は、オヤイデ電気が取り扱う「FiiO」シリーズの最新モデル。X5シリーズとしては第3世代モデルとなる。

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右側面には2つのmicroSDカードスロットと電源スイッチがある

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左側面には再生/一時停止ボタンと曲送り/曲戻しボタンがあり、その間にダイヤル式のボリュームがある
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上面部。ヘッドフォン出力は、バランス/アンバランスの2系統を装備。充電/データ接続用のmicroUSB端子、ラインアウト端子もある

 世代を重ねるほどに実力を高めてきているが、今回の進化も著しい。まずは、Androidベースのユーザーインターフェースを採用し、タッチパネル操作を採用したこと。これにともない、デザインも一新。シンプルながら存在感のあるデザインを採用している。

 Androidベースのユーザーインターフェースは上級機の「X7」を継承したものだが、Androidは5.1をカスタムして搭載。オーディオ再生用のソフトもオリジナルで開発している。

 また、音質に特化した「ピュア・オーディオ」モードと、Andorid端末として使えるモード(Play Storeからダウンロードしたアプリの使用ができる)が切り替え可能で、高機能と音質を両立するなど、先進の設計となっている。

 そして、オーディオ回路もこだわっている。DACチップは「AK4490EN」を左右独立で搭載。リニアPCM最大768kHz/32bit、DSD最大5.6MHzの音源に対応している。

 さらに、クロックも44.1kHz系と48kHzの2つを独立して搭載。オペアンプICを「OPA426」とするなど、オーディオ出力も強化している。

 その音を聴いてみると、以前のモデルよりも情報量が明らかに増し、質感の豊かな再生音になっている。メリハリのくっきりとした音質傾向は従来からのものだが、情報量が増えることでおり上質なサウンドになったと感じる。

 ボーカル曲を聴いても、くっきりと音像が浮かび上がる一方で、エコー感やかすかな吐息までもきめ細かく再現し、彫りの深い表現を身につけている。

 クラシックなどを聴いても、微小な音の再現性が向上しており、楽器の音色がよりリアリティーを増している。この音の進化はかなりのレベルだ。

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製品には、本革製のケースと樹脂製のクリアケースの両方が付属する。充実した装備も魅力だ

 タッチパネル操作も非常に快適で使いやすさは上々と、文句のつけどころのない完成度になっている。5万円未満の価格帯のプレーヤーとしては、注目のモデルと言えるだろう。

ヘッドフォンアンプ内蔵で拡張性も抜群
多彩に使えるAstell&Kern「KANN」

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Astell&Kern「KANN」。タッチパネルの下部には物理ボタンを搭載。サイドには円筒型のボリュームを備えるなど、従来のモデルとは一新したデザインを採用する

 アユートが販売するAstell&Kern「KANN」(実売価格 12万円前後)は高級プレーヤーの代表格とも言えるブランドの新カテゴリーモデルだ。

 DACチップに「AKM4490」をシングルで採用し、リニアPCM384kHz/32bit、DSD11.2MHz対応となるなど、従来の「AK300」シリーズに近い仕様となる。

 しかし大きく異なるのは、大出力の高性能アンプを搭載していること。ハイインピーダンスの手強いヘッドフォンも鳴らし切る、強力なヘッドフォンアンプが一体化されていると考えていいだろう。

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上面にはヘッドフォン出力とライン出力をそれぞれ独立して備え、どちらもバランス/アンバランス出力に対応。電源ボタンもある。特徴的な台形の形状は大柄なサイズながらハンドリングのよさを狙ったもの
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底面部分には、フルサイズSDメモリーカードとmicroSDカードのスロットを搭載。充電用/データ通信用のUSB Type-C端子と、USBオーディオ入出力用のmicroUSB端子を備える
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側面部分にはボリューム調整用のダイヤルを備える

 ボディーの厚みを増した分、バッテリー容量は6200mAhと大容量となり、連続15時間もの長時間再生が可能になっている。急速充電にも対応するので、ポータブルプレーヤーとしてタフに使える実力を持つ。

 また、USB Audio出力でUSB DACと接続できるなど、据え置きモデルのような機能も備える。

 メモリースロットも、フルサイズのSDメモリーカードが使えるようになっており、据え置きモデルがコンパクトになったような多機能ぶり。室内でも屋外でも自在に使えるモデルと言っていい。

 その音質は色づけが少なく、ストレートで情報量の豊かなAstell&Kernのサウンドを基調としながら、中域に厚みのある骨太な力強さを感じた。

 これがKANNの最大の魅力と言えるところ。音の力感という意味では、AK300どころか、AK320などの上級機に迫るものがあり、骨格のしっかりした厚みのある音が楽しめた。

 そのため、クラシックは雄大なスケールと迫力が味わえるし、ジャズではテンションの高さやリズムの弾力感が出て、グルーブ感豊かな演奏になる。ボーカル曲も力強さやエネルギー感がたっぷりで、情感がよく伝わってくる。

 価格としては高価になってくるが、ハイレゾプレーヤーをグレードアップしようと思ったとき、真っ先に有力な候補となるのは間違いないだろう。

オンキヨーとパイオニアが発売した
コンパクトなポータブルプレーヤーも見逃せない!

ONKYO
ONKYO
オンキヨーブランドの「DP-S1」(左)とパイオニアブランドの「XDP-30R」(右)

 ハイレゾ音楽プレーヤーとしては、オンキヨーの「DP-S1」(実売価格 3万5000円前後)、パイオニアの「XDP-30R」(同3万2000円前後)にも注目したい。

 上位モデルに比べてよりコンパクト化を果たしたモデルで、DACチップに「ES9018C2M」を2基、オペアンプに「9601K」を2基搭載するなど基本的なスペックは共通。バランス/アンバランス両対応のヘッドフォン出力を備えているのも同様だ。

 操作はもちろんタッチパネルで、快適な使い勝手を実現。側面には基本操作が行なえる物理ボタンもあるので、画面を表示せずに直接操作できるのも便利だ。

 このほか、多彩な高音質機能を備えることも特徴。音源の32bit変換をはじめ、ジッターノイズを低減する「ロックレンジアジャスト」、3種類のデジタルフィルター特性の切り替えなどを採用。好みに応じた音質の調整ができるようになっている。

 Wi-Fi、Bluetooth対応で、音楽配信サービスなどにも対応するなど、機能も充実しており、単なるコンパクトモデルとは思えないモデルに仕上がっている。

携帯性バツグンのカナル型で音質もぐっと向上
オーディオテクニカ「ATH-CKR75BT」

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オーディオテクニカ「ATH-CKR75BT」。左右のカナル型イヤフォンをバッテリー/Bluetoothユニットでつないだ形になっている。マイク付きのリモコンも備える

 ヘッドフォン/イヤフォンでは、快適に使えるBluetooth内蔵ワイヤレスタイプがかなり売れているようだ。

 最近の製品は、音声を圧縮して伝送しているという音質的な劣化感はほとんど感じさせず、気軽にいい音を楽しめる。

 ワイヤレスタイプは屋外でこそ最適と思いがちだが、実は屋内で使っても実に快適。たとえばPCやタブレットで動画や音楽を楽しんでいるとき、トイレなどでちょっとその場を離れるときでもいちいちヘッドフォンを外す必要がない。屋内で使いはじめると、便利過ぎて手放せなくなってしまうほどだ。

 オーディオテクニカの「ATH-CKR75BT」(実売価格 1万6000円前後)は、カナル型イヤフォンのワイヤレスタイプ。左右のユニットがケーブルでつながれており、首にかけるようにして使うタイプだ。

 バッテリーやBluetoothユニットはリモコンとは別のユニットが備えられている。

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バッテリー/Bluetoothユニット部。クリップを備えており、服の襟などに固定できる
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リモコンは3ボタンタイプ。充電用の端子はここに装備されている
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イヤフォン部。コンパクトなカナル型で、ハウジングは剛性の高いアルミニウム製だ

 肝心のイヤフォン部分は、11.8mm口径のドライバーを採用。Bluetoothユニットに内蔵したアンプで解像感の高い再生音を追求するなど、音質にこだわった設計としている。Bluetoothのコーデックも、AACとaptXに対応している。

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装着イメージ。服などに固定してしめばケーブルも邪魔にならず、軽快に使えるだろう

 音を聴いてみると、解像感が高くきめ細かな再現が得意なタイプとわかる。それでい、個々の音もパワフルで低音も充実した力強さもある。そのため、エネルギー感がよく伝わる勢いのある音になっている。

 ジャズ曲ではアコースティックな楽器の音色を自然で響きも豊かに再現するし、ボーカルも声に厚みのある聴き応えのある音になっている。

 コンパクトなカナル型のBluetoothイヤフォンで、ここまで充実した音になっているのはさすがオーディオテクニカ。日常的にいつも身につけて使いたくなるモデルだ。

クインシー・ジョーンズが音を監修したスペシャルモデル
JBL「E55BT QUINY EDITION」

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「E55BT QUINY EDITION」。ピンクのカラーはなかなか大胆。ヘッドバンド部分や「Q」のロゴのゴールドがアクセントになっている

 最後はオーバーヘッド型のヘッドフォン。Bluetooth対応ヘッドフォンとしては高級モデルまで幅広く展開しているJBLの「E55BT QUINY EDITION」(実売価格 2万1500円前後)だ。

 「E55BT」をベースとして、音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズが音を監修したスペシャルエディションだ。デザインなどはほぼ同じだが、イヤーパッドにPUレザーを採用するほか、マット仕上げのハウジングや特別なカラー(ブラック、ピンク)を採用している。

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左右のハウジングの下の部分には、右側にヘッドフォン入力とBlutoothのペアリングボタン、左側に充電用のUSB端子がある
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右側ハウジングにある操作ボタン。電源ボタンと、音量調整ボタンがある

 Bluetooth機能はマルチポイント機能に対応しており、1台のスマホで音楽を聴いている最中でも、別のスマホに着信した通話をすることが可能。2台のスマホを使い分けている人には便利そう(音楽を2台同時に再生することはできない)。

 このほか、約2時間の充電で最大約20時間のワイヤレス再生ができるので、屋外で使う場合もバッテリー切れの心配はほとんどないだろう。

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折り畳んだところ。収納時はよりコンパクトにして付属のキャリンポーチに入れて持ち運べる
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使用するドライバーは50mm径のダイナミック型。PUレザーは見た目もよく、装着感も良好

 50mm口径のドライバーなどはベースモデルと同じだが、クインシー・ジョーンズが監修したサウンドはスムーズで伸びやかな高音、量感あふれる低音などを狙ってチューニングされている。

 それだけでなく、電源オン/オフ時やBluetooth接続時の音声ガイドも、クインシー・ジョーンズの声が使われており、これを聴くだけでちょっとぜいたくな気分になる。

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装着イメージ。オーバーヘッド型だが、サイズは比較的コンパクトになっている

 その音は、低中域に厚みのある安定感のあるサウンドで、どっしりと厚みのある音場がリッチな感触だ。声は明瞭で広がり感もよくスカッとした爽快さがある。聴いていて本当に楽しいバランスに仕上がっている。

 ジャズ曲は音色の再現がリアルで個々の楽器の音をはっきりと描きわける。弾むようなリズム感も気持ちいい。音場が広く、響きも豊かな鳴り方をするので、その場の空気感が伝わるような感触だ。

 クラシックでもホールの響きが出て、広々とした空間の感じがよく出ているし、たくさんの楽器が一斉に音を出したときのスケール感も雄大だ。

 適度な華やかさとパワフルさを持ちながら、解像感もしっかりとキープしたバランスは絶妙で、音楽プロデューサーの手腕に唸らされてしまう。音質的に優れたモデルはほかにもたくさんあるが、これだけ音楽が楽しいモデルはあまり多くはない。

質の高いモデルで映画や音楽を楽しめば
暑さを忘れてしまうかも!?

 4Kテレビからヘッドフォンまで、さまざまなオーディオ&ビジュアルのアイテムを紹介してみたが、気になるモデルがあればぜひとも手に入れてみてほしい。

 大好きな映画や音楽の力で暑い夏を楽しく過ごしてもらいたい。