[30日 ロイター] - <為替> ドルがユーロに対して約1年2カ月ぶりの安値近辺で推移した。米連邦準備理事会(FRB)の年内の追加利上げが疑問視される中、欧州やカナダの中央銀行がタカ派姿勢を強めるとの観測が広がり、ドルが売られた。

ユーロ/ドル<EUR=>は一時、2016年5月11日以来の高値となる1.1444ドルに上昇。終盤は0.5%高の1.1437ドルで推移している。

ドル/円<JPY=>は序盤に過去1カ月余りで最も高い112.92円に上昇したが、その後は軟調に転じて終盤は0.2%安の112.05円となった。

市場はドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の27日の発言を受け、ECBが年内に金融緩和の解除を開始するための準備を進めているとの見方を強めた。ECBの関係筋は28日、ドラギ総裁の発言について、差し迫った金融政策の引き締めは意図していないと説明したが、市場の反応は乏しかった。

さらにイングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁やカナダ銀行(中銀)の当局者2人の28日の発言により、両国の中銀が利上げに踏み切るとの観測が強まった。

BKアセット・マネジメントのマネジングディレクター、キャシー・リーエン氏は「米国以外の中央銀行による金融政策の軌道修正が、ドルと比べた外国通貨の相対的な魅力を高めている」と述べた。

またコモンウエルス・フォーリン・エクスチェンジのチーフ市場アナリスト、オマー・エシナー氏は「市場は、年内にあと1回の追加利上げを想定しているFRBの見通しに少し懐疑的になっている」と指摘。FRBの利上げに懐疑的な見方と、他の中銀からのタカ派的なシグナルが組み合わさり、ドルを圧迫したという。同氏はその理由について、2014年半ば以降は、金融緩和の解除でFRBが他の中銀よりも先行するとの観測が定着していたが、そうした観測が後退したためだと説明した。

米議会予算局(CBO)は2017年と18年の米国内総生産(GDP)実質成長率の見通しを1月時点の予測から若干下方修正した。これを受けて主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は一時、約9カ月ぶりの安値となる95.531に低下。終盤は0.4%安の95.597となった。

米ドル/カナダドル<CAD=>は一時、約5カ月ぶりの安値となる1米ドル=1.2987カナダドルを付け、終盤は0.3%安の1.3001カナダドル。

<債券> 欧州の中央銀行が緩和的な政策を後退させる公算が大きいとの見方から米10年債利回りが一時約6週間ぶりの水準に上昇した。ただその後は米株価が軟調となったことで国債利回りは上げ幅を縮小した。

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は27日、大規模な債券買い入れや超低金利といったECBの政策を微調整する可能性を示唆。これを受け市場ではECBが9月にも緩和策の縮小を発表するとの観測が浮上したが、翌日には複数の関係筋がドラギ総裁は弱めのインフレ期間への容認を示したに過ぎず、差し迫った政策引き締めは意図していないと説明。

28日にはイングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁が英経済が完全稼動に近づくにつれ中銀は利上げする必要が出てくる可能性があり、金融政策委員会(MPC)はこのことについて「向こう数カ月」以内に討議すると述べている。

ナットウエスト・マーケッツのマクロストラテジスト、ブライアン・ダインジャーフィールド氏は、「欧州での動静が米債券市場を動かす要因となっている」と指摘。DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライエン氏は、月末、および上半期末を控えポジション調整の動きが出ていることも利回り上昇の要因になっているとの見方を示した。

終盤の取引で10年債<US10YT=RR>利回りは2.27%。一時は2.30%と、5月17日以来の水準に上昇した。

市場は30日発表の5月の米個人所得・消費支出統計に注目。前出のブライエン氏は「軟調な結果となれば、今後の利上げペースを左右する要因となる」としている。

米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言では、ロンドン訪問中のセントルイス地区連銀のブラード総裁が、金利に関してFRBが為すべきことはもはやないとし、次の一手はバランスシートの縮小開始となるとの考えを表明。世界の中銀が緩和的な金融政策を維持するなかでFRBが単独で引き締めを継続する確信を持つには強い指標が必要との認識も示した。

<株式> 急反落。ハイテク株が大きく値下がりしたことが響いた。

ダウ工業株30種とS&P総合500種の下落率は約6週間ぶりの大きさとなり、ナスダック総合は4月13日以降で初めて重要な節目の50日移動平均を下回って引けた。

情報技術株<.SPLRCT>は1.8%安とセクター別で最も下げがきつかった。主力銘柄のアップル<AAPL.O>が1.5%、マイクロソフト<MSFT.O>が1.9%それぞれ下がり、相場を圧迫した。

グローバル・マーケッツ・アドバイザリー・グループのシニア市場ストラテジスト、ピーター・ケニー氏は「米国株は相当な期間、強い確信がないまま最高値圏を維持しており、必死に踏みとどまっている状況にある。株価を押し上げてくれる大きな材料が出てこないと水準訂正は避けられず、それがまさにきょうの動きだ」と話した。

一方で金融株<.SPSY>は0.7%高、エネルギー株<.SPNY>は0.1%高と堅調。今年に入って出遅れ気味の両セクターが循環物色の対象となったもよう。金融株は米連邦準備理事会(FRB)が大手行すべての資本計画を承認したこと、エネルギー株は原油価格上昇も追い風となった。

チャールズ・シュワブ・インベストメント・マネジメントのオマー・アギラー株式最高投資責任者(CIO)は「少しばかり循環物色の要素があった。これまで不振だったセクターの値動きが最も良く、ハイテク株は痛手を受けた。ただ、これはテクニカルな反動の側面が強い」と指摘した。

ドラッグストアチェーンのライト・エイド<RAD.N>は26.5%急落。同業ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス<WBA.O>が買収を断念し、ライト・エイドの米国内の店舗の約半分のみを取得すると発表した。ウォルグリーンは1.7%上げた。

上場初日となった食材キット宅配サービスのブルーエプロン・ホールディングス<APRN.N>は公開価格の10ドルで引けた。

<金先物> 欧米の主要中央銀行が軒並み金融政策の引き締めに動くのではないかとの観測が広がる中、金利を生まない資産である金には売り圧力がかかり、3営業日ぶりに反落した。中心限月8月物の清算値は前日比3.30ドル(0.26%)安の1オンス=1245.80ドル。

<米原油先物> 前日までの買い戻しの流れが継続し、米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値は前日比0.19ドル(0.42%)高の1バレル=44.93ドルと、6営業日続伸した。