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日本を元気にする新・経営学教室

新人も育てよ、売上目標も達成せよ!
あちら立てれば、こちら立たずという
「マルチタスク問題」を解決する途
神戸大学大学院経営学研究科教授 平野光俊

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第25回】 2011年8月1日
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 人を起点として変革を主導するリーダー、すなわち「人材マネジメント型企業変革リーダー」は、その人固有のリーダーシップの持論を持っている。

 例えば、我が国に「宅急便」のイノベーションを起こした小倉昌男の「経営リーダー10の条件」(『小倉昌男 経営学』日経BP社)や松下幸之助が語る『指導者の条件』(PHP研究所)など、優れた経営者が残した持論は、経験から学習した教訓が言葉に結晶化されていて、一語一句がリーダーとしての行動の原理原則になっている。

 両氏のものに限らずとも、創業経営者や中興の祖が残したリーダーシップ語録は数多くあるが、それらの持論をよく見ると原則の中に矛盾を見出すことがある。例えば「謙虚で控え目」でありながら「野心を持て」と言う。「個人の目標必達」を重視しつつ「利他的な協力」を求める。

 リーダーシップとは矛盾のコンフリクトを創造的に解決する営みである。一見矛盾する行動原則の併存こそ深みがあり、その矛盾を止揚できる人が優れたリーダーということなのであろう。

2つの知識創造活動と
インセンティブ設計原理

 ここで原則の矛盾とその止揚、言いかえれば矛盾の創造的解決という観点から、変革とその変革を担う従業員(エージェント)の適切な行動を引き出すインセンティブの組み合わせを考えてみよう。

 まず変革のルーツはエージェントが生み出す知識(アイデア)とその組み合わせであり、それを組織学習と呼ぼう。ジェームス・マーチは1991年に発表した論文 "Exploration and Exploitation in Organizational Learning," Organization Scienceにおいて組織学習には「探索モード」と「活用モード」の2つのパターンがあると言う。あとで説明する。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


日本を元気にする新・経営学教室

好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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