[東京 30日 ロイター] - 日本損害保険協会の原典之・新会長(三井住友海上火災保険社長)は、ロイターとのインタビューで、日銀の出口戦略をめぐる日銀幹部の発言などで金利が乱高下しても、損保各社はリスク管理の高度化を進めており、適切に対応できると述べた。出口戦略に当たっては、市場との対話を十分に行うよう日銀に求めた。

メガ損保3グループは、海外企業の買収を通じ成長力の維持を目指している。原会長は、三井住友海上社長として海外企業の買収を引き続き摸索する考えを示した。

原氏は30日付で損保協の会長に就任した。

主なやり取りは以下の通り。

――メガ損保は、成長の源泉を海外企業の買収に求めている。

「海外企業のM&A(企業の合併・買収)には、大きく2つ理由がある。1つは、日本のマーケットは自然災害が多い。事業ポートフォリオを分散させる意味で、ERM(統合的リスク管理)の観点から、従来、日本のウエートが非常に高かったところを海外を増やして、ポートフォリオを分散せようというのが1つ。もう1つは海外の成長を取り込んでいくことだ」

――各社とも今後も、海外の買収は続けるとみるか。

「個社の戦略になると思う。三井住友海上で考えると、海外のウエートが売上の35%くらいになったので、もう少し増やしたいと思っている」

――35%からどの程度まで増やすか。

「来年度から新しい中期経営計画が始まるので、そこで論議していくことになる。5割くらいが1つのめどになると思うが、スケジュール感を含めて論議する」

――国内では自動車保険の参考純率が引き下げられ、保険料には下押し圧力がかかる。一方で、民法改正で法定利率が引き下げられ、消費増税も予定されている。この2つは保険料の増額要因だ。3つの要因が自動車保険料に与える影響は。

「参考純率の改定は、事故頻度が減ってきたことによる結果。しかし、修理の単価は毎年上がってきている。法定利率の引き下げで対人賠償保険金を支払うときの逸失利益が増える。消費税が増税されれば、修理代金は増えてくる。そういったものを加味しながら各社が判断していくことだ」

――国内の損保が統合してメガ損保が誕生してから時間が経過したが、業界再々編の可能性は。

「(メガ損保)3グループはかなり切磋琢磨してやっている。3グループが一緒になるのは、独禁法の問題もあって、おそらくありえないだろう。それ以外の会社はかなり特徴を持ってやっている。特色を出すことによってマーケットで存在感を出している。その戦略がしっかりしていれば、特色が顧客に受け入れられているのではないか。今後どうなるかは、なかなかわからないのが本音だが」

――日銀の出口戦略に関する議論が出ている。

「損保は、保険の負債期間はそんなに長くない。生保のように何十年という世界ではない。マイナス金利の影響が一気に来るのではなく、新規投資の都度、利回りが落ちていくという状況。そういう状況の下で、各社は外債やオルタナティブに投資しているが、日銀が出口をどうするかは非常に難しい。タイミングをどう図るか、どういう方法でやっていくかというのは、非常に難しい話だと思う」

「われわれとしては、マーケットと対話しながら進めてもらうことを期待している」

――日銀は、マーケットときちんと対話できていると思うか。

「(日銀の黒田東彦総裁が就任して)最初はサプライズが何度もあったが、今はマーケットと対話しようとしているのではないか」

――日銀の出口戦略に関する幹部の発言や報道で金利が上昇したり、乱高下するリスクがある。

「各社ともERMの高度化をかなり進めてきていると思う。金利が上昇したらどう対応するのか、いろいろなシナリオを描いて、影響額がどのくらいになるかというのは、常にやっていると思う。金利がこのくらい上がっても、われわれの影響はこのくらいになるなというのは見て、適切に対応していると思う」

――米連邦準備理事会(FRB)はバランスシートの縮小を視野に入れている。損保の資産運用への影響は。

「どういう影響が出るか、よく注意しておく必要はあると思うが、(2013年の)バーナンキ・ショックのようなレベルにはならないのではないか。マーケットと対話しながらかなり慎重に進めているという感があるし、新興国もいろいろな意味で健全性が高まっていると思う」

*このインタビューは、28日に実施しました。

(和田崇彦 編集:田巻一彦)