圧勝した小池都知事は国政に手を伸ばす必要はないPhoto:日刊現代/アフロ

7月2日(日)、首都東京に激震が走った。東京都議会議員選挙の結果、小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」が単独で49議席を獲得して圧勝し、自由民主党が史上空前の敗北を喫したのだ。都民ファーストの会と自民党との一騎打ちの様相を呈していた今回の選挙だが、軍配は小池都知事に上がった。だが、この結果を「小池都知事圧勝」という陳腐な言葉だけで片付けてしまっていいのだろうか。(政治ジャーナリスト 黒瀬徹一)

都民ファーストの最大の成果
議会に「新陳代謝」をもたらしたこと

「新しい議会という言葉が胸に響いたのでは」――。

 都民ファーストの会圧勝の要因として、小池都知事は「新しい議会」という言葉が有権者に刺さったのではないか、という考えを述べた。

 一般に、普段はあまり注目されない地方議会議員選挙にこれだけの衆目を集めた功績は大きい。地方といっても東京は日本の首都だ。にもかかわらず、4年前の選挙の投票率は約44%であり、過半数は選挙に行っていない状況だった。それが、今回の投票率は51%。わずかい7~8ポイント程度の上昇と感じるかもしれないが、人数でいえば100万人を超える有権者が新たに投票所に足を運んだことになり、民主主義の観点からすれば、これだけでも十分に功績があるといえよう。

 そして、彼らが普段は行く気もしない選挙に行ってみようと思わせた最大の要因は、やはり今の議会に対する不信感と不満なのだろう。

 だが、どんなに有権者が不平不満を募らせても、良くも悪くも政党政治が根付いている以上、新しい政党が生まれない限り、同じ人が何度も議員を続けることになる。まして、都道府県議会議員選挙においては、選挙期間中に個人のチラシを配布できないというおかしなルールがあり、政党に所属していないと相当に活動を制限されてしまう。「当選○回」などと当選回数を誇示する議員が多いのが政治の業界だが、実際はそんなものは成果でもなんでもなく、単に利権にしがみついた結果に過ぎない。