新興進学校の急成長要因は難関大実績と国際化対応

大学並みの設備で高度な実験も可能な医進.サイエンスコース(広尾学園)

 それにしても、広尾学園と三田国際学園の快進撃には驚かされる。1年でいっきょに偏差値が5~6ポイントも上がるような例はこれまでなかった。

 その背景の1つに、新しい入試制度への対応もある。16年から東大は学校長推薦、京大は特色入試というAO入試を始めているが、17年の実績(別記事 図表参照)を見ると、広尾学園が前年の0人から4人と顕著な成果を上げている。

 内訳を見ると、共学校なので男女各1人が東大の工学部と理学部に推薦で合格し、京大では法学部と医学部医学科に1人ずつが受かっている。15年に校名変更と共学化をした三田国際学園にも、そうした成果への期待が高まってもおかしくない。

 このように、大学実績という結果が見えると受験生は動く傾向にある。

 17年の珍事としては、意外な学校から東大合格者が飛び出したことも挙げられるだろう。東京の男子校の京華と姉妹校の京華女子から各1人、数学教育に定評のある女子聖学院からも1人出た。

 小規模ながら小学校から高校まで進む12年一貫教育に定評のある浦和ルーテル学院からは15年、16年と2年連続して合格者が出ている。いずれの学校も入り口の偏差値を見ると、究極の入りやすくてお得な学校と言えよう。

 浦和ルーテル学院の合格者は小学校からの一貫生だったという。付属の小学校からの内部生がいる一貫校の魅力の1つが、比較的同レベルの中入生を挟み込むようにして、学力が上の生徒もいれば下の生徒もいるという内部生が持つ、幅の広さ、多様性にある。付属小の学校説明会は6月に開かれるがどこも前年比2~3割増、聖学院では8割増の保護者が集まったという。

 他に17年入試で目立った学校としては、千葉の人気校である東邦大学付属東邦で12月中に行われた推薦入試が20倍を付けたことが挙げられる。兄弟校の駒場東邦の倍率が2倍割れしているのと好対照となった。

 同じ千葉では、市川で英語入試も選べるようになった。受験者数はさほど多くはないものの、帰国子女としての要件を満たさないような場合でも、英語を学んできた子どもがこうした入試を志向する傾向にある。東京都市大付や大妻中野の「グローバル」など、中堅中位校でこうした対応が目立つようになってきた。