7月5日、じりじりと円安が進んでいる。「正常化」を急ぐ米連邦準備理事会(FRB)だけでなく、欧州中央銀行(ECB)などもタカ派寄りにスタンスを変えてきたとの思惑が浮上。一方、日銀は超緩和政策を当面維持するとの見方から、中銀スタンスの違いを背景とした円売りが強まっている。写真は昨年1月撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)

[東京 5日 ロイター] - じりじりと円安が進んでいる。「正常化」を急ぐ米連邦準備理事会(FRB)だけでなく、欧州中央銀行(ECB)などもタカ派寄りにスタンスを変えてきたとの思惑が浮上。一方、日銀は超緩和政策を当面維持するとの見方から、中銀スタンスの違いを背景とした円売りが強まっている。ただ、思惑先行の面も強く、日本以外の外的要因の比重が高い円安の構図の下では、外的要因の変動で相場の方向性が急変するリスクも一部で意識されている。

欧州要人発言で思惑先行

 円安の勢いが増したのは、欧州での要人発言がきっかけだ。6月27日にECBのドラギ総裁が欧州の景気回復が強まっているとしたうえで「デフレの脅威は過ぎ去り、リフレの力が及んでいる」と発言。イングランド銀行(BOE)のカーニー総裁も景気動向次第という条件付きながら、今後数ヵ月以内に利上げを協議するとした。

 ただ、ユーロ圏のインフレ率は上昇傾向を示してきたが、安定的に2%付近という状態ではない。欧州では、女性と高齢者の労働参加率が高まっており、総賃金が上がりにくいという構造的な問題もある。ユーロ圏は失業率が10%程度と日米より高く、需給ギャップも供給超過で物価を押し下げる要因になっている。

 みずほ銀行・チーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は、ユーロ/ドルが1.15ドル付近で安定した場合、1年後のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は0.3%ポイント程度押し下げると試算。ECBが見込む2018年のHICPは1.6%だが、「目標達成が難しい中で、ユーロ高による下押し圧力が加わることをECBは容認したくないだろう」とみている。