「ヒト=料理人」と「サラ=料理」に
フォーカスしたグルメサイト「ヒトサラ」

 ヒトサラは「料理人の顔が見えるグルメサイト」をコンセプトとして、そのサイト名の通り、「ヒト=料理人」と「サラ=料理」にフォーカスを当てています。

 運営しているのは、株式会社USENです。同社は現在、音楽配信、業務用システムの開発や販売、インターネットプロバイダー、エネルギー事業など多彩な事業を行なっていますが、元をたどれば有線放送サービスを出発点としています。

 有線放送の会社がグルメサイトを運営するのは一見意外な印象を受けるかもしれませんが、どちらも飲食店のためのサービスという点で共通しています。実際、グルメサイトを立ち上げるというアイデアも、「BGM以外に飲食店に提供できるサービスは何か?」という試行錯誤の中から生まれたそうです

 ちなみに、USENのグルメサイトは、2000年のスタート時は『ぐるめピタ』(2000~2006年)という名前でした。その後、『グルメGyaO』(2006~2012)を経て、2012年に『ヒトサラ』にブランドチェンジして現在に至っています。

 ヒトサラの店舗ページを開くと、まず目に飛び込んでくるのが、シズル感のある美味しそうな料理写真です。ヒトサラでは、初回の掲載時には必ずプロのカメラマンを店舗に派遣して料理や店内の撮影を行っており、写真のクオリティにはかなり気を遣っているそうです。また、「これだけは食べてほしいベスト3」というコンテンツを設けて、その店の自慢料理がわかりやすく伝わる構成になっています。

 私自身がグルメサイトを使うとき、どれだけ行きたいと思っていたお店でも、検索して出てきた店舗ページの料理写真が残念だと、「大丈夫かな?」「ほかの店にしようかな?」と不安になったり、行くのを躊躇してしまうことがあります。グルメサイトにおいて料理写真は極めて重要な位置を占めており、そのクオリティにこだわるのは正しい選択だと思うのですが、それでもこれほどのレベルで料理写真にこだわるグルメサイトを、私はこれまで見たことがありません。

 また、料理人の経歴やこだわりの紹介に大きなスペースが使われているのもヒトサラの特徴です。ソムリエやパティシエ、生産者が登場しているお店もあります。どんな人が、どんな思いを持って、料理を作り、接客をしているのか。そうした〝人〟に関する情報がしっかりと伝わってきます。

 ヒトサラに登場している料理人の数は、2017年4月末現在で1万人以上にのぼるそうです。

 料理人にフォーカスしたサイト構成は、お店とユーザー双方にメリットがあります。

【お店側のメリット】
◆料理人が顔を出すことで、お客様に自店の「ストーリー」や「こだわり」をリアルに伝えることができる。
◆料理人がお客様から「見たよ」と声をかけてもらえるので、そこからホールスタッフだけでなく、料理人ともコミュニケーションが生まれる。
◆会話が弾むことでお店により強い愛着や好感を持ってもらうことができ、常連になってもらえる可能性が高くなる。


◆掲載した料理人の意識やモチベーションの向上につながる。

【お客側のメリット】
◆お店の人の顔が見えることで安心感や信頼感を抱くことができる。
◆接待や会食の際、料理人の経歴やこだわりを話題にしたり、その店に決めた理由として相手に伝えることができる。

 先述したように、従来のグルメサイトでは、お店の魅力を伝えることと、お客様の信頼を得ることの両方を両立させることが困難でした。

 しかし、ヒトサラは「料理人の顔が見える」というコンセプトを打ち出したことで、お店とお客様の双方にメリットを提供できています。私がヒトサラをすすめる理由もまさにそこにあります。