[ワシントン 5日 ロイター] - 米国防総省は、日増しに高まっている北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の脅威から米国を防衛できると自信を見せているが、だれもがそれほど楽観的というわけではない。

北朝鮮は4日、アラスカが射程圏となり得るICBMの発射実験を実施。そこで米国のミサイル防衛能力がどの程度なのかとの疑問が改めて浮上した。

国防総省報道官のジェフ・デービス海軍大佐は「この限定的な脅威を防衛できると確信している。存在するのはまだ生まれて間もない脅威だ」と語った。報道官が理由に挙げたのは、5月にICBMの迎撃実験に初めて成功したことだった。この実験の標的追尾プログラムは完璧ではないと認めつつ「われわれは複数の迎撃ミサイルを撃つことが可能だ」と強調した。

しかし米政府がこれまで多額の費用を投じて開発してきたミサイル防衛システムでは、北朝鮮のICBMを防げないかもしれない。

専門家は、現在のミサイル防衛システムが対応できるのは1つ、もしくはごく少数の基本的な構造のミサイルが飛来した場合だけだと警告する。もし北朝鮮の技術や生産能力が進歩し続ければ、防衛能力が追い付けなくなる恐れがある。

米ロビー団体、ミサイル防衛支持連合(MDAA)創設者のリキ・エリソン氏は「今後4年で、米国は防衛システムの能力を増強し、より多く、より急速に配備しなければならない」と訴えた。

<結果にばらつき>

国防総省ミサイル防衛局(MDA)が持つ過去の迎撃実験の記録を見ても、結果は全面的に良好ではない。

ミサイル防衛システム構成要素の1つ、地上配備型ミッドコース防衛システム(GMD)では、成功率は55%超。海軍艦艇と陸上それぞれのイージスシステムは約83%だった。一方、新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)は2006年以降の13回の実験で100%の成功率になった。

THAADとイージスシステムの主な契約相手はロッキード・マーティン<LMT.N>、GMDはボーイング<BA.N>が中心となって請け負っている。

1980年代のレーガン政権以降で米政府がミサイル防衛開発に拠出してきた総額は2000億ドル余り。オバマ前政権期間のミサイル防衛関連の平均予算額は81億2000万ドルで、トランプ政権は2018年度に78億ドルを要求した。

<絶対はあり得ず>

MDA局長だったジェームズ・シリング海軍中将は議会で先月、北朝鮮が過去半年で成し遂げた技術的進歩には大きな懸念を抱いていると語った。

一方、米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」に寄稿しているミサイル専門家のジョン・シリング氏は、北朝鮮のミサイル開発速度は想定よりも速いと指摘しつつも「ただし、特に戦時下において米本土の価値の高い目標に正確にミサイルが到達するまでにはあと1年か2年は必要だろう」と述べた。

それでも国際戦略研究所(IISS)でミサイル防衛を研究するマイケル・エルマン氏は、北朝鮮が信頼できるICBMを完成させるまでにはなお数段階あるとはいえ、米国が自らを守れるという「絶対の保証など存在しない」と主張。ミサイル防衛では実験の成功率が100%でも、それで大丈夫ということにはならないと釘を刺した。

(Mike Stone記者)