「働き方改革」の本質とは一体何なのか?

働き方改革の入り口 ●今、日本中の企業が頭を悩ませている課題

「働き方改革」の本質とは一体何なのか?

人事評価制度と労務管理の改定が課題

家田 佳代子
合同会社ジョイン・代表兼CEO/自身が母親の介護のため退職を経験。半導体メーカーでテレワークシステムを導入し介護をしながら業務を可能にした実績を持つ。鉄道系ICカード会社の情報セキュリティ責任者に就任。育児・介護時の就業環境の整備と雇用促進を目指す企業としてジョインを設立。

 そうした政府方針の下、企業も動き始めたが、「人事評価や労務管理が追いついていないという課題を解決できていない」(家田氏)。

 テレワーク(場所や時間にとらわれない働き方)を例に取ろう。政府は2013年に「世界最先端IT国家創造宣言」を行い「テレワーク導入企業数3倍(12年度比)」「雇用型在宅型テレワーカー数10%以上」等のKPI(重要業績評価指標)を示した。

 テレワークには、(1)自宅で勤務する在宅勤務、(2)空港や駅、カフェなどで仕事をするモバイルワーク、(3)ターミナル駅近辺など本社や支社以外の場所に設けたサテライトオフィス勤務が考えられる。現時点では(1)の在宅勤務はハードルが高いため、大手企業の半数が実現している(2)のモバイルワークと(3)のサテライトオフィスの整備が進んでいる。

 在宅勤務が進まない理由は、セキュリティ確保の難しさもあるが、先の人事評価制度や労務管理が追い付いていないところにある。人事評価制度を変えなければ管理職は目の届かない在宅勤務者の評価に自信が持てず、在宅勤務社員は正当に評価されているのか不安を抱く。

 総務としては社内ルール、社内規定(賃金規定、退職金規定、安全管理規定、旅費規定等)の見直しを迫られる。仕事中の事故の対応も難しい。例えば、労災の適用範囲を自宅や実家まで範囲を広げるのか、自宅や実家での事故は全て労災なのか。その点サテライトオフィスであれば、セキュリティが確保されていて、入退室が把握できるので勤怠管理もできて、労災の判断も容易だ。

 長時間労働の是正は男性の項目にあるが、これも女性の活用を見据えたものだ。「女性が管理職になりたくない大きな理由の一つが長時間労働です。残業ばかりしている上司の姿を見ているせいです。

 ですが女性を活用して労働力人口を増やすこと、女性の管理職を増やすこと(2020年までに指導的地位に占める女性の割合を3割にする)はKPIなので、長時間労働の是正と同時に人事評価制度の基準を改めなければならないのです」  

 イクメン・イクボスに代表される出産直後からの男性の休暇取得の促進も、女性の活用が目的だ。家田氏は企業も男性社員も育児休暇の意味を正しく理解していないことを嘆く。

 「早く帰って子どもの面倒を見るとか、在宅勤務にして妻と一緒に子育てをすることと解釈しているのです。夫が育児のための休暇を取って、妻が会社で働けるようにするためには、男性の意識・行動改革が不可欠です」  

 何から手を付ければいいのか迷っている企業が働き方改革を進めるとき、自社の弱点の是正につながることから始めればいい。長時間労働が喫緊の課題と感じているのなら人事制度や労務管理の見直しから入る。

 ワーク・ライフ・バランスであれば、本社に社員の席を固定しないフリーアドレスを導入し、サテライトオフィスを設置し、テレワークの推進へつなげていく。ただし、どこから入っても「最後は全部をやることになる」(家田氏)という覚悟は必要だ。



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