ポイントサービスの市場規模が拡大している。中でも共通ポイントは人気で、加盟店も増加中だ。しかし顧客がためていたり、使えるポイントでなければ顧客満足は低い。その不満足感を解消するソリューションがJCBの「POICHI(ポイチ)」である。

 JCBの加盟店向けサービス「ポイントおまとめサービス POICHI」は、JCBと契約をするだけで「Tポイント」「Ponta(ポンタ)ポイント」「楽天スーパーポイント」の最大3つの共通ポイントの取扱店になれる。しかも「POICHI」はポイント処理にJCB指定のクレジットカード端末が使える。導入コスト削減やスケジュール短縮ができ、加盟店の負担が軽減されるというメリットもある。「POICHI」のサービス開始から約半年、「POICHI」を導入した2店を訪ねた。

ポイントの付与が
値引き効果をもたらす

スリーエムメガネ本舗
岩井厚治氏

 Tポイント、Pontaポイント、楽天スーパーポイントのロゴマークが一つののぼりに収まって、初夏の風に揺れていた。奈良県香芝市にあるメガネ本舗香芝店の店頭風景だ。近畿・中国・四国・九州エリアでメガネ本舗を運営するスリーエムメガネ本舗は、今年3月25日から全直営店44店に「POICHI」を導入した。

 西日本では知名度の高いメガネチェーンだけに「他社を通じて共通ポイント導入の誘いは以前からあった」と、同社の岩井厚治氏は打ち明ける。

 「顧客囲い込みのツールとして、ポイント制度は魅力がありました。検討したものの、初期導入コストが見合いませんでした。そこで、昨年9月から今年2月まで、独自のポイント制度を阪神の6店舗で試験的に導入したのですが、不具合が続出してしまいました」。

 このまま全店展開をしたらどうなることかと岩井氏は頭を抱えた。その騒動のさなか、JCBから「POICHI」導入の打診があったという。

 「3つの共通ポイントが扱えることと、既存のクレジットカード端末が使えることが決め手となりました。システムの信頼性も高く導入以来、一度もエラーが出ていません」(岩井氏)。

のぼりがはためくメガネ本舗香芝店の店頭。ポイントのロゴで競合店との差別化を図る
メガネ本舗香芝店内にもPOPを置く。大手共通ポイントが付くことは購入決断の後押しになる

 ポイントを使う場面でも共通ポイントは優れていると、岩井氏は言う。「メガネは頻繁に買い換える商品ではないので、お客さまが当社独自ポイントをためても次に使うのはずっと先かもしれません。それでは顧客満足も誘客も実現できない。共通ポイントなら多くの店で使えるし、他社でためたポイントを当店で使っていただくこともできます」。

 値引き交渉は当たり前という関西の土地柄にも、共通ポイントはなじむ。「店頭で割引を実施していますが、お客さまとのコミュニケーションの中で、さらなる割引を要望されることもあり、それが利益圧迫の1つの要因にもなっていました。POICHI導入後は、要望があったお客さまにはポイント還元・付与をサービスとして提供しています」。ポイントサービスを活用することで、同社が設定する割引幅を超えずに、顧客満足を満たしながら購入してもらえるようになったのだ。ポイントカードの提示率は予想よりも10%以上も多いという。メガネ本舗の「POICHI」が顧客に受け入れられている様子がうかがえる。

「業界初」の大手共通ポイント導入をうたったチラシ
DMでは、導入後も定期的に大手共通ポイントがたまって使えることをPR