新刊『心に届く話し方 65のルール』では、元NHKアナウンサー・松本和也が、話し方・聞き方に悩むふつうの方々に向けて、放送現場で培ってきた「伝わるノウハウ」を細かくかみ砕いて解説しています。
今回の連載で著者がお伝えするのは、「自分をよく見せることを第一に考える話し方」ではなく、「聞いている人にとっての心地よさを第一に考える」話し方です。本連載では、一部抜粋して紹介していきます。

ひきつける話し方は、「びっくり→しっかり」法で

「びっくり」部分で「なに、それ?」と少しびっくりさせる

人生はチョコレートが入った箱みたいなものよ。開けてみるまで中身はわからないの」(映画「フォレスト・ガンプ」より)

人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのは莫迦莫迦しい。重大に扱わなければ危険である。」(芥川龍之介「侏儒の言葉」より)

 よく似たたとえですが、この表現方法、実は第1回で紹介した、「まずざっくりと、そのあとしっかり説明する」という「ざっくり→しっかり」法の発展バージョンといえます。つまり、ともに人生とは何かを説明するのに、よく似たものをあげてざっくりイメージを与え、そのあと詳しく説明しているからです。発展バージョンと言ったのは、最初の「ざっくり」部分と、後ろの「しっかり」部分の関係がただの補足説明ではなく、「ざっくり」部分で「なに、それ?」と少しびっくりさせ、後ろの「しっかり」部分で「あ~そういうことだったの!」と聞き手を納得させているからです。

 この「びっくり→しっかり」法、聞き手をひきつけたいと思う場所で使うと非常に効果的です。