新刊『心に届く話し方 65のルール』では、元NHKアナウンサー・松本和也が、話し方・聞き方に悩むふつうの方々に向けて、放送現場で培ってきた「伝わるノウハウ」を細かくかみ砕いて解説しています。
今回の連載で著者がお伝えするのは、「自分をよく見せることを第一に考える話し方」ではなく、「聞いている人にとっての心地よさを第一に考える」話し方です。本連載では、一部抜粋して紹介していきます。

ちょっと「イラッ」とするイントネーション

 想像してください。

 買い物をすませたお客様に「ありがとうございました」と言うとしたら、あなたはどんなふうに言いますか? 可能なら声を出して言ってみてください。

「ありがとう」の「あ」と「ございました」の「た」では、どちらが高い音程になっていましたか?

ありがとうございました↑

「た」のほうが高い、つまり文の後ろに行くほど音程が高くなっているとしたら、その言い方はかつてコンビニエンスストアやファミリーレストランでよく聞いた話し方に近くなっているはずです。では逆に、「あ」を高い音程で始めて、後ろに行くほどほんの少しずつ力を抜きながら言ってみてください。

ありがとうございました↓

 どうですか? 落ち着いて聞こえませんか? あるいは「ありがとう」のことばがしっかり伝わる気がしませんか?

 下の図のイラストをみるとイメージがつきやすいかもしれません

文の出だしは「ほんの少し高い音で<br />しっかり」言う