プロ選手への無尽蔵な無償提供で
用具が高額化し、野球人口を減らした

――日本のプロ選手にももっと使ってもらいたい?

 日本の球団に食い込むのはなかなか難しいですよ。大手メーカーが、必ず各球団担当を常に帯同させていますから。

 でも、正直、日本の選手への提供はあまり積極的に行うつもりはありません。日本の選手は「用具は提供されるもの」という感覚が当たり前になりすぎていて、一度提供するとキリがなくなってしまう恐れがある。選手はグローブやバットが欲しいですから、これとセットで契約となると巨額の資金がかかります。

 メーカーにとって、プロ野球選手への用具提供は宣伝活動の一環で、それ自体は何の利益も生み出しません。その結果、アマチュアの人に用具が売れなければ、投資分を回収できず、全く意味がない。もちろんスター選手に使ってもらえれば、相応の費用対効果が見込めますが、日本の大手メーカーは、無名の二軍の選手にも当たり前のように用具を提供してしまいますからね。このように選手への提供ありきになって、その真の目的を見失えば、収益を大きく圧迫しかねません。

 MLBの選手は、まず「いくらするのか」と、必ず価格を尋ねてきますから、それが日本の野球界と最も違うところです。米国ではMLBの選手には提供しますが、マイナーリーグの選手には購入してもらっています。

――米マイナーリーグに比べ、日本の二軍は“ぬるま湯”だとよく揶揄されますが、用具提供の面でも、米国よりずっと恵まれた環境にあるんですね。

 数年前、若年層の野球人口がサッカーに抜かれましたが、この主な原因は用具が高額なことにある。硬式野球のグローブの平均的な小売価格は5~6万円。これは莫大な宣伝費が跳ね返っている結果です。メーカーがプロ野球選手への無尽蔵な提供をやめれば、もしかしたら1万円くらいに抑えられるかもしれませんし、野球人口の減少を食い止める一助になるはずです。

 この“提供が当たり前”という大手メーカーが作った流れを、ぜひ変えていきたい。「買ってでもいいから使いたい」と、プロ野球選手に言ってもらえるようにならなければ、といつも考えています。

――日米ともに、オールスターゲームはなんといっても盛り上がります。

 今年は、スタントンの他、同じマイアミマーリンズのマーセル・オズナ、ネルソン・クルーズ、そしてカノも出場。オズナとスタントンには、オールスター用の新しい防具を送りました。ぜひ、日本の野球ファンにも見てもらいたいです。