「発注者」のための指南書がなかった

『システムを「外注」するときに読む本』は、自分の会社や組織にシステムを導入しようとしているシステム担当者やプロジェクトマネージャー、CIO、経営者に向けて書かれています。

現在、ベンダーやエンジニアのための指南書は数多くありますが、発注者目線でプロジェクト成功のポイントを探る本は非常に少ないようです。 その理由の1つは、今までの日本のシステム開発における作業の主導権がベンダーにあったために、システムを発注する側に、「ベンダーと協力して進めていくものなのだ」という意識が根付いていなかったから、と言えるかもしれません。

システムを外注する企業であれば、システム開発の経験はそれほど多くはないでしょう。一方、ベンダはシステム作りのプロです。システム開発の経験値や知識面で、そもそも埋めがたい圧倒的な差があるわけです。

システム開発のプロセスで何が起きるのか。
自分たちにはどんな役割があるのか。
なぜトラブルが起きやすいのか。

発注者がそうしたことを知る機会がほとんどなかったのですから、うまくいかないプロジェクトが多くて当然だった、と言えるかもしれません。

そこで本書では、私が数々の失敗プロジェクトを見聞きしてきた経験を総動員して、システム開発プロセスに地雷のように潜むトラブルの種を取り除き、ベンダと協力しながら「本当に役に立つシステム」を完成させるための最低限の知識を、ストーリー形式でお伝えしていきます。

いわば、無数の失敗事例から見えてくる、成功のポイントを凝縮した本です。