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金融市場異論百出

債務上限引き上げ承認後も
米国債の格下げ懸念は続く

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年8月9日
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 ニューヨークのタイムズスクエア近くのビルの壁面に、「政府債務時計」の電光掲示板がある。1秒ずつ政府債務残高が増大していくことを表す時計である。1家庭当たりの負担額も表示されている。米議会での政府債務上限引き上げ議論が新聞、テレビで連日大きく報じられていたため、同電光掲示板を見上げる通行人や観光客の姿が一時期多く見られた。

 議会は、財務省の資金繰りに支障が出る前日に、からくも上限引き上げを承認した。しかし、同電光掲示板の表示は、承認前日の7月31日に14.4兆ドルを表示し、さらに刻々と増加を続けていた。本当は14.3兆ドルで止まっていなければならなかったのだが、ご愛嬌といえる。電光掲示板の所有者はそこまで細かい調整をしていなかったらしい。もっとも、債務上限が引き上げられたので、電光掲示板の表示は再び正しくなった。

 ニューヨークのある有力エコノミストは、仮に今回格下げを回避できたとしても、中長期的に米国債がAAAを維持することは難しいだろう、と冷ややかに語っていた。ドル基軸体制の「終わりの始まり」にわれわれは位置している。とはいえ、ドルに取って代われるような通貨は今は見当たらない。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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