「マレーシアや世界の国々が、他国からの高度人材を増やし、海外からの直接投資を取り込み、研究開発の交流を深めて発展してきた背景から考えると、日本にはまだまだ外国人人材が少ないため、増やすべきだ。しかし、同時に厳しい規制が必要となる。

 マレーシアに関して言えば、中国の経済的発展は歓迎している。しかし中国の海外展開は、これまで日本や他国が行ってきた外国直接投資(FDI)とは異なり、国内の不動産を取得して建造物を設け、移民を連れてくるスタイルである。自国民のバランスを保つためにも移民規制が必要だ」

 シンガポールのマレーシアからの追放・独立の原因は、マハティール元首相によるマレー人優遇政策であった。自国国民第一主義の下、マレーシアの近代化を実現してきたマハティール元首相のアドバイスだけに、規制の必要性はあるものの、世界との共存共栄が強く求められる時代に向かっていることを痛感した。

自分への誇りと自信こそが、
グローバル社会を生き抜く武器

(4)誇りと自信をかけ、自ら危機を乗り切る

 「アジア通貨危機のとき何を思い、どのように解決したのか?」。これは、筆者がしたもう1つの質問だ。1990年代後半に発生したアジア通貨危機は、今考えても異常事態であったこともあり、マハティール元首相が何をどう感じ、国の安定にどのように腐心したかという、当時の率直な心境を聞いてみたかったのだ。

 当時、国際通貨基金(IMF)から借金するか、自国の力だけで何とかするか、2つに1つしか道がない中で、マハティール元首相はIMFからの借金を断固拒否。内需を刺激して経済を回す政策を取った。

 その決断に関してマハティール元首相は、「安易に借金で解決することもできるが、マレーシア国民が自分たちの力で乗り越えなくては、自国への誇りと自信が失われてしまう」といったことを語った。

 マハティール元首相は、アジア人の国であるマレーシアの独自の発展、世界に対抗し得る絶対的価値を見出すことを模索し続けて来たのだろう。

 グローバルビジネスでも同じことが今、問われている。グローバルでは、会社のブランドや肩書よりも、自分が誰であるのか、つまり広い世界における自分自身の絶対的な価値が求められる。自分の価値を磨き、オンリーワンのウリをつくることが求められている。