――消費者目線では、昨年は台風の被害が大きかったことで馬鈴薯(ジャガイモ)が不作となりました。その影響で、今年は菓子メーカーがポテトチップスの販売を休止したり終了したりする事態が起きました。ジャガイモは、「荒地でも育つ」といわれるほど丈夫な農作物だとされてきましたが、どうしてそうなるのですか。

 ジャガイモには、「黒あざ病」という土壌の中の細菌によって引き起こされる病害があります。ジャガイモは、種イモを土中に埋めて栽培するのですが、収穫できても表面のあちこちに黒いあざがある状態だと、工場でポテトを揚げた際に黒く目立つので、菓子メーカーからは敬遠されてしまうのです。他の販路でも、黒いあざがあると、「品質に難あり」とされて引き取り価格が下がり、結果的に生産者の収入が減ってしまう。

収穫ロスの原因となる「黒あざ病」を予防する新型マシン(左側が前方になる) 写真提供:シンジェンタ ジャパン

 何とかできないかと、世界で同様の事例がないか探してみました。すると、シンジェンタの英国法人が参考になる取り組みをしていた。そこで、その解決法を応用し、細部を日本市場向けにアレンジして、国内の機械メーカーと新型マシンを共同開発しました。「植溝内土壌散布機」と呼ばれるマシンです。種イモを植える段階で一緒に薬剤を投入することで、黒あざ病の被害を減らすことができます。

 これまで、ジャガイモが不作になると、生産者は「今年はついていなかった」と落胆していましたが、この新型マシンを使えば、コントロールが可能になる。被害が減れば、品質のランクが上がり、生産者の収入も増えます。新しいシステムを提案した私たちにとっても、次なる課題が見えてきます。シンジェンタは、薬剤やサービスを販売するばかりでなく、技術指導にも関わる。化学製品ですから、正しく使用してもらわなくてはなりませんし、現場では最終的な結果が出るところまで一緒に汗をかきます。