――一般論で、外資系企業は効率優先で、何でもシスティマティックに物事を進めるという印象があります。しかし、農薬ビジネスに限っては、そうではなさそうですね。

 全くその通り(笑)。文字通り、非常に泥臭いビジネスといえます。 農業というものは、非常にローカルなもので、農作物の栽培は国・地域によって事情が異なります。また、規制当局の許認可や流通の形態、ビジネスの進め方も違います。

 グローバル企業としてのシンジェンタは、世界7ヵ国(米国、英国、オランダ、インド、中国、スイス、フランス)に計8カ所の大規模研究所を持っています。将来的な研究の大きな方向性は、それらの研究所で決まりますが、日常的には各国にある研究・開発拠点と連携しながら、その国の生産者のための問題解決に注力する。日本では静岡県と茨城県にある二つの研究所、千葉県にある一つの試験場が稼働しています。

 世間では、少子高齢化で「農業の将来は先細りだ」と思われているかもしれない。でも、私は「危機こそ、チャンスである」と捉えているので、常に複数のプロジェクトを同時に走らせています。現場には、問題解決のヒントが転がっているものです。

合気道に学んだ
Win-Winの精神

――篠原社長は、過去に米国やフィリピンに駐在経験があります。今も時差の変更を伴う地域への海外出張は多いと思いますが、気分転換はどうしているのですか。

 まだ始めて間もないのですが、合気道ですね。海外出張が多く、なかなか道場には顔を出せませんが、身体を動かして汗を流せば無心になることができる。

 私の短い経験でも、気付いたことがあります。合気道の特徴は、「どちらが勝ちで、どちらが負けかを決めない」ことにあります。これは、「勝負をしない」とも言えますが、経営にも通ずるものがある。ビジネスでも、最終的には、勝ったか負けたかではなく、互いにWin-Winにならなければ継続しませんよね。