東ヨーロッパ諸国の加盟で起こったこと

 ECは、1992年の欧州連合条約(マーストリヒト条約)によって、翌93年からEU(ヨーロッパ連合)へと発展的改組します。

 1995年にはオーストリア、スウェーデン、フィンランドが加盟、2004年には東ヨーロッパ諸国を中心に10カ国、2007年にはルーマニアとブルガリア、2013年にはクロアチアがそれぞれ加盟し、28カ国体制となりました。

 EUの加盟国の拡大によって、スペインよりも賃金水準の低い東ヨーロッパ諸国へ生産拠点が移動することになりました。

 かつてスペインが持っていた「賃金水準の低さ」という優位性を、東ヨーロッパ諸国に奪われたのです。

 ポーランドやチェコ、スロバキア、ルーマニア、ハンガリーといった東ヨーロッパ諸国では、EU加盟後に自動車の生産台数を伸ばしました。

 その結果、スペインの自動車産業の空洞化を招く恐れがありました。事実、スペインの自動車生産台数は2004年を境に減少します。

スペインは「戦い方」を変えた

 現在、スペインの自動車生産台数は、1990年代ほどの勢いはないものの、ドイツに次いでヨーロッパ諸国中第2位の自動車生産大国になっています。

 2015年には、生産台数273万3000台に対し、輸出台数227万3000台と、実に製造車両の83.2%が輸出に回されています。EUの拡大後もヨーロッパで有力な自動車生産拠点としての地位を保っているのです。

 東ヨーロッパ諸国に「大衆乗用車」生産の主役は譲りましたが、スペインは非量産型の高品質小型車やミニバンなどの多目的車両の生産にシフトしました。

 また、自動車生産だけでなく、研究開発部門の強化も推進させ、研究開発の事業拠点としての役割を強化させているのです。