プロトンは一時期、ドイツのVW(フォルクスワーゲン)と資本提携交渉を進めたが、双方の意見がかみ合わず交渉は決裂した。VWは「プロトンの完全支配とアセアン生産拠点としての活用」が狙いだったが、プロトンの持ち株会社とマハティール首相が「プロトン側が株式の51%以上を所有すること」を絶対条件にしたため、VWが提携を断ったという結果だった。日本の企業は何かと優しい。

 三菱自動車と縁を切ってからのプロトンは、ロータス・エンジニアリングに小型車の設計を委託していたが、一方で三菱から提供を受けたエンジンや車両設計技術を使って、急場をしのいできた。しかし、ライバルのプロドゥアがダイハツの強力な支援を得て勢力を拡大していたため、マレーシア国内でのシェアを挽回できる商品を持つことが急務だった。そのため、スズキと業務提携し、同社のインドネシア工場から小型多目的車、エルティガのKD(ノックダウン生産)セット供給を受ける契約を結んでいる。

強気な吉利HDとプロトンの
シナジー効果は?

 近日中にプロトンの最大株主となる吉利ホールディングスは、10年にフォードからボルボ・カーズ株を買い取って子会社としたほか、ロンドン・タクシーの権利を持つLTI(ロンドン・タクシー・インターナショナル)を傘下に持つ。また、日本のシートメーカー、タチエスとの間では13年にシート生産のための合弁会社を設立するなど、中国の非国営自動車メーカーの中では最も活発にグローバル展開を進めてきた企業だ。

 吉利ホールディングスの李書福会長は共同記者会見で「プロトン・ブランドの存続」「海外市場の開拓」などの構想を語った。吉利はボルボが開発したプラットホームを使用する自社商品ラインアップの充実を進めているほか、中国にボルボ工場(大慶工場)を建設し、中国製ボルボ車の輸出も開始している。強気の吉利がプロトンをどう活用するかが注目される。中国メーカーの戦略が、世界の自動車メーカーに影響を与えそうだ。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)