そして三つ目は伊藤忠ブランドのさらなる向上だ。

 これまで利益ナンバーワンを目指してきた伊藤忠だが、ここにきて「単なるPL(損益計算書)の数値競争はやめ、社員が誇りを持てる、誰もが憧れる会社を目指す」(岡藤社長)と、方針転換しつつある。脱スーツ・デーによって自由闊達な社風が醸成され、それがブランド力向上につながる可能性はある。

 とはいえ、社員の思いはさまざまのようだ。

「今回の取り組みをきっかけに、服装だけじゃなく、ジム通いして若さを保つなど、内面から変えようと思った」(吉田多孝・常務執行役員)と前向きに捉える人がいる一方、「金曜日ごとに同じ服を着る訳にいかず、出費になるし、服装センスも問われる。従来のスーツにノーネクタイのほうがよっぽど楽なのですが……」との声もある。

 また、商社の取引先にはITやアパレルのような服装に寛容な業種もあれば、一方で鉄鋼や銀行のような堅い業種もある。「取引先にはジーンズ解禁などの取り組みを伝えてご理解いただいている」(金融・保険部門の社員)というが、中には快く思わない取引先もいるだろう。

 いずれにせよ、伊藤忠商事の社員は今後、仕事の成果のみならず、服装センスでも実力を問われることになる。

(週刊ダイヤモンド編集部 松本裕樹)