ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
吉田恒のデータが語る為替の法則

ユーロ逆襲によって起こった10・29「ドル・ショック」が意味するものとは?

吉田 恒
【第3回】 2008年10月31日
著者・コラム紹介バックナンバー

 先週まで急落していたユーロが、今週は急反騰となりました。このまま続くかはともかく、そもそも「異常なユーロ安」になっていた可能性があるため、パニックが落ち着けばこんな動きになるということではないでしょうか。

前代未聞のユーロ急落!
異常なユーロ安が起こっていた

 「異常なユーロ安」というのは、たとえば移動平均線との関係から考えられることです。90日移動平均線からのユーロ/ドルのかい離率は、これまで基本的に±10%を超えたことがありませんでした。ところが、10月に入ってからのユーロ急落により、かい離率は一時マイナス16%まで拡大しました。

ユーロ/米ドル 90日移動平均線からの乖離率
ユーロ/米ドル 90日移動平均線からの乖離率

 これまでマイナス10%を越えたことのなかったかい離率が、マイナス15%すら超えたのですから、前代未聞のユーロ急落、その意味では「異常なユーロ安」ということになると思います。

 相場は行き過ぎるのが常です。その典型が「バブル」と呼ばれるものだと思います。ただ、これまでの記憶からすると、バブルも必ず破裂してきたと思います。つまり行き過ぎ相場は、いつか必ず修正されるということです。

 今回の「異常なユーロ安」は、金融パニックといった異常事態の中で起こった一現象でした。そうであれば、その異常事態が一息つくと、その「異常なユーロ安」も修正に向かう可能性が高いということでしょう。

 それにしても、今回の金融パニックは、確かに20~30年に一度あるかないかといったことかもしれません。だから、この異常事態の一段落もなかなか簡単にはいかないのかもしれません。

 そこは引き続き気をつけながら、しかし本来「異常なユーロ安」が修正されるなら、結構ユーロは上がる可能性があるということも頭に入れておきたいところです。

 上述のように、90日移動平均線との関係からすると、かい離率はマイナス10%を超えないのが普通で、本来ならマイナス5%以内におさまるものです。マイナス10%なら1.33ドル、そしてマイナス5%以内になるなら1.4ドルといった計算になります。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

10・29「ドル・ショック」の意味とは?

 ところで、そんなここ数日の「ユーロの逆襲」といった動きの中で、特に10月29日はドルが今年最大の急落となったようです。これはもちろん対円での話ではありません。ドルの総合力を示す実効相場が、29日に今年最大の下落率を記録したようなのです。

記事の続きを読む

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


吉田恒のデータが語る為替の法則

為替相場には法則がある! 数々の大相場を的中させてきた吉田恒が、豊富な過去データを分析して法則を導き出し、為替の先行きを予想します。

「吉田恒のデータが語る為替の法則」

⇒バックナンバー一覧